マイル81 


 2024.11.21      人間を食べる車 【マイル81】


                     
マイル81 わるい夢たちのバザール1 (文春文庫) [ スティーヴン・キング ]
評価:3
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■ヒトコト感想
スティーヴン・キングの短編集。恐怖を呼び起こす短編が多数収録されている。最も印象的なのは表題作でもある「マイル81」だ。パーキングにポツンと止まる1台の車。なんてことない車が実は化け物だった。何か大きなオチがあるわけでもないが、次々と人が車に食べられていく。それを近くで見ていた小さな子供たちが警察へ電話するシーンが物語のピークかもしれない。

車が両親を食べた。子供独特の表現方法だとかってに勘違いした警察は、車に近づいていくのだが…。この世の中に存在しない恐怖。ラストはしっかりとその車に対して何かしらの対処をしているのが良い。結局、人食い車の正体が何だったのかが説明されることはない。

■ストーリー
廃墟となったパーキングエリアに駐まる1台の車。不審に思って近づいた者たちは――キング流の奇想炸裂の表題作。この世に存在しない作品が読める謎の電子書籍リーダーをめぐる「UR」。忌まわしい恐怖の物語「悪ガキ」。アメリカ文学の巨匠に捧げる「プレミアム・ハーモニー」他、ホラー、SFから文芸色の強い作品まで10編を収録。

■感想
「モラリティー」は、モラルにうるさい世間に対して、あえてモラルを大きく破るような作品としたかったのだろうか。作者ほどキャリアがあると、新しいアイデアを思い付いたとしても、実は過去に自分で同じような作品を描いていたというのがあるのかもしれない。

自ら新しい色をだすためには、今までタブーとしてきた領域にも入り込まないとダメなのだろう。作者独自の色をだしつつ、新しいことに挑戦する。どこかで読んだことのある雰囲気はいなめないが良いものは良い。

「UR」はまさに今までのスティーヴンキング作品ではまったく登場してこなかったガジェットを使ったホラーとなっている。中身は未来が分かるニュース系の物語なので、フォーマットとしてガジェットが使われているだけで手法としては昔からよくあるパターンだ。

不幸な現実が未来に起こると、手に入れたガジェットでネットニュースを見てしまう。未来を変えるために四苦八苦し、このまま不幸を避けることができないのかというドキドキが続いていく。

「マイル81」は強烈なインパクトがある。幼い子供たちの目の前で、自分の両親が謎の車に食べられてしまう。助けに来たはずの警察官は、子供の言うことを信じず、車の中には犯人がいて両親を人質にとっていると勝手に想像しゆっくりと近づいていく。

その車がどこからきてどこにいくのか。一体何なのかは最後まで明かされることはない。ひたすら恐ろしいものを目の前にして、幼い子供たちが必死に事態を打開しようとする。近くにいた青年が最後に機転をきかせて行動するのが良い。

キングの新しい試みが詰まった短編集だ。



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