食われる家族


 2023.5.9    妹に家と家族がのっとられる【食われる家族】

                     
食われる家族 [ ソン・ジヒョ ]
評価:3

■ヒトコト感想
幼いころに遊園地で行方不明となった妹が突然帰ってきた。その妹が家族の一員となり、家はしだいに妹の色に染まっていく。偽物の妹に資産家の家がのっとられる系の物語だ。どことなく「パラサイト 半地下の家族」に雰囲気が似通っている。妹の巧みな戦略と周りを取り込む力がすさまじい。主人公の男が精神的に病んでいるのもポイントだろう。

中盤には妹の目的がはっきりしてくる。単純な金だけではない。新興宗教絡みの物語ということで、男が仲間と思っていた精神科医までもが実は宗教団体の人間だとわかる。男の八方ふさがり具合がすさまじい。警察すらも妹側に取り込まれているとわかると絶望的な気分になる。終盤まで、どこまで妹が手をまわしているのか、という恐ろしさが見ものの作品だ。

■ストーリー
お前は一体誰なんだ遊園地で手を離した隙に妹はいなくなった25年の月日が経ち、妹は帰って来た優しく、慎ましく、そして妖しいほどに美しい誰もが魅了され、家族の一員として受け入れるが…

■感想
幼いころに妹の手を離したことで、妹が行方不明となる。まず男の現状が、妻が交通事故で死亡し実家に娘と共に帰っている状態となっている。ある日、突然失踪した妹が帰ってきた。幼少期で何も知らない状態から養父母が死んだことで自分の真相に気づいたらしい。

DNA鑑定でも妹の確率は99%とでた。となると両親は大喜びで妹を迎え入れるのだが…。男はまだ妹のことを信用できないでいる。いかにも怪しげな妹だが、両親や周りからの評判はすこぶる良い。長年勤めた家政婦が妹のことを怪しんだタイミングで。。。

この手の流れは、最終的に妹に家族がのっとられるパターンだ。資産家家族が妹の虜になっていく。妹の息のかかった者が家族に入り込んでいく。男の娘すらも妹にとりこまれていく。このまま妹に家族を奪われてしまうのか…。

男は警察へ訴えたり、自らが調査したりするのだが、妹は巧みな仕掛けですべてを逃げ切っている。怪しさ満点だが…。妹の目的は金や家族ではなかった。実は新興宗教の団体に属しており、男の娘を団体のシンボルとして誘拐しようと考えていた。想像の上を行く展開だ。

男の周りのあらゆる場所に宗教団体は入り込んでいた。信頼していた精神科医が実は団体の信者であり、男は医者から特殊な薬を処方されていた。薬により両親は妹のいいなりとなっており、娘さえも薬漬けにされていた。かなり恐ろしい展開だ。

すべてのたくらみが公になり、男はすったもんだがありながら妹の野望を打ちくだくことに成功する。資産家の家を乗っ取るタイプの作品はよくあるのだが、それが宗教団体にも関わってくるのは異色だ。

妹の、何をたくらんでいるのかわからない存在感がすさまじい。



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