2023.2.1 道明寺探偵屋のミステリーシリーズ 【紅だ!】
紅だ! [ 桜庭一樹 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
桜庭一樹の探偵小説。恐らくはシリーズ化されていくのだろう。現代的な事件であり、使われるツールはLineやSNSを駆使した流れとなる。アンダーグラウンドのサイトで生死を問わず捕まえろという情報がでたり。。。紅と橡というふたりが道明寺探偵屋を開く。シリーズの導入部としては、人物紹介の色が強いのだろう。
紅は15歳の少女の用心棒としての依頼を受ける。ダークウェブで賞金首になっている少女。なぜ少女が賞金首になっているのかが謎のまま物語はすすむ。橡が受けた依頼は、ATMを騙す目的で作られた偽札を追う物語だ。まったく違うテイストのふたつの依頼が、ある時ひとつに繋がっていく。様々なキャラクターが登場し、今後のシリーズを盛り上げるキャラクターだと想像できる流れだ。
■ストーリー
東京の新大久保、コリアンタウンから超多人種都市へと変貌しつつある街に、「道明寺探偵屋」は事務所を構える。社員はわずかに二人、そのうちのひとり、真田紅は、女子テコンドーでオリンピックに出場経験がある大柄な武闘派だ。「紅だあーッ!」真田紅がいつものように雄叫びを上げながら「道明寺探偵屋」の扉を勢いよく開ける。外にいたのはオルチャンメイクをほどこした見知らぬ小柄な少女だった。ハイタカと名乗った少女は、物騒な連中に追われているようだ。
成り行きで用心棒を引き受けてしまった紅は、ハイタカに襲い掛かる者どもを撃退する。「生死を問わず」捕まえろ――ダークウェブで多額の懸賞金がハイタカにはかけられていたのだ。まだ15歳の少女に、いったい誰が? 何の目的で?同じ頃、もうひとりの社員こと黒川橡は、かつての職場の先輩である公安の藤原に相談を受けていた。全国各地のATMでいっせいに偽札が発見されたのだ。
不本意ながらも捜査に巻き込まれていく橡だったが、事件の鍵を握る重要人物として浮かんできたのは、どうやら紅の依頼人である少女、ハイタカなのだった。橡は躊躇いながらも、一年ぶりに“相棒”に電話をかける。「――じつはな。どうやら俺たち、久々の共闘になりそうなんだ。紅」果たしてハイタカと偽札事件のかかわりは? 彼女が抱えている秘密とは? そして、紅と橡に一年前に生じたわだかまりとは何か?二転三転する事件に翻弄されるなかで、社会正義や共同体の在り方について悩み、お互いを見つめ直す探偵コンビを描く、ノンストップ・アクション・エンタテインメント。
■感想
「道明寺探偵屋」の物語だ。タイトルの紅だ(くれない)というのは、主役のひとりである真田紅のことだ。相棒である橡と探偵事務所として依頼を受ける。典型的な探偵小説だが、現代的な要素を多数盛り込んでいる。
ATMだけを騙す偽札作りや、ダークウェブでの賞金首、そして、SNSでのやりとり。紅と橡の関係はよくわからないまま物語はすすんでいく。元々は葉という事務所のボスがいたが、何者かに殺害されたため、紅と橡が事務所を引き継いだ形となる。
紅が依頼を受けたのは15歳の少女の用心棒だ。ダークウェブで150万の賞金首が賭けられた少女。謎めいており、紅は翻弄されるのだが…。明らかに何か秘密がある。そして、紅が少女の正体を暴き、今後のシリーズには間違いなくなんらかの形で関係してくる人物だろう。
紅と橡や警察を含め、この少女に翻弄されている。橡が依頼を受けた偽札事件についても、少女とは無関係と思われたが関係各所を調査していく中で、少女との深い関係が明らかとなる。
事件は二転三転する。偽札をATMに読み込ませ、それをビットコインに変換し資金とする。まさに巨大組織が犯罪に関わっていると思わせる流れだ。偽札を作った元となる会社が、自社の名誉のために犯人と思われる人物を狙う。
公安や警察組織ともつながりのある橡。どことなくだが、森博嗣作品のように、カギを握る人物が逃げ切り、そのままシリーズを通して裏で暗躍するような形なのかもしれない。シリーズの最初のキャラ付けとしては申し分のない流れとなっている。
新シリーズスタートだ。
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