クーリエ:最高機密の運び屋


 2023.5.25    ただのサラリーマンが背負うには重すぎる使命【クーリエ:最高機密の運び屋】

                     
クーリエ:最高機密の運び屋 [ ベネディクト・カンバーバッチ ]
評価:3

■ヒトコト感想
アメリカとソ連のキューバ危機を救った男。何をしたかというと、ソ連の機密情報をサラリーマンのフリをしてソ連からアメリカへ持ち運んでいた。イギリス人のウィンは商社マンとして世界を飛び回っていた。商売先のひとつとしてソ連があるだけ。そんな外向きの方便とは別に、運ぶ中身が何か知らされず機密を運び続けた。ソ連に逮捕される危険があることは認識していた。

後半ではウィンはソ連に捕まってしまう。ここからの捕虜生活も衝撃的だ。ただ、アメリカとソ連の核戦争を防いだ功績がウィンにあるということになっている。実在した人物であり、ウィンが英雄視されている。ソ連側のスパイである男は処刑されるという結末がなんとも悲しくなる。

■ストーリー
1962年10月、アメリカとソ連、両大国の対立は頂点に達し、「キューバ危機」が勃発した。世界中を震撼させたこの危機に際し、戦争回避に決定的な役割を果たしたのは、実在した英国人セールスマン、グレヴィル・ウィンだった。スパイの経験など一切ないにも関わらず、CIA(アメリカ中央情報局)とMI6(英国秘密情報部)の依頼を受けてモスクワに飛んだウィンは、国に背いたGRU(ソ連軍参謀本部情報総局)高官との接触を重ね、そこで得た機密情報を西側に運び続けるが―。

■感想
ただのサラリーマンであるウィンが、ソ連からの機密情報の運び屋に選ばれる。商社マンなので頻繁にソ連い行くことに違和感はない。最新機器をソ連に売り込むということでソ連側のスパイにアクセスしやすい。家庭が崩壊しつつあるのを感じながらのウィンの行動は、もはや使命感でしかない。

自分が核戦争を防いでいるんだ、という気概なのだろう。いつソ連に逮捕されるかわからない状態で運び屋を続けている。ウィンは運ぶ中身が何か知らないが、機密情報であることは理解していたのだろう。

中盤からウィンとソ連のスパイの関係性が明らかとなる。命の危険を賭けて仕事をしている二人なので、一体感がすさまじい。ソ連に情報が洩れて危険が迫るとウィンはCIAからソ連へ行くことを止められる。その場合ウィンは助かるが…。

ソ連のスパイを助けるためにウィンはソ連に渡るのだが…。そのタイミングでソ連に逮捕されてしまう。ここからがすさまじい。今までの緊迫感あふれる展開から、ソ連での厳しい捕虜生活が描かれている。

アメリカが国としてウィンの引き渡しをソ連へ依頼しても、それを受け入れられることはない。アメリカとソ連の戦争を止めた人物として描かれている。ソ連のミサイルの情報がウィンからアメリカに漏れキューバにミサイル基地があることが判明し、核戦争を逃れた。

実はソ連側も自分たちの機密を奪われた怒りがあるが、核戦争を阻止できた、という思いがあるのだろう。エンディングでは実際にウィンがソ連から解放された映像があるのが衝撃的だ。

ただのサラリーマンが背負うには重すぎる使命だ。



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