項羽と劉邦 鴻門の会


 2022.4.4      劉邦の後ろに隠れた皇后の残虐性【項羽と劉邦 鴻門の会】

                     
項羽と劉邦 鴻門の会
評価:3.5

■ヒトコト感想
項羽と劉邦の物語は微かに知っている。「キングダム」で有名な秦と三国志の間の漢を築いた時代だ。若き将軍の項羽と農民出身の劉邦。いきなり劉邦が皇帝となり、そこから回想形式でどのようにして登りつめたかが語られている。憧れの項羽の仲間になり、そこからライバル視し項羽に呼ばれ鴻門の会に参加し、命の危険を感じて逃げ出す劉邦。

どのようにして項羽を倒したのかが語られている。その過程で劉邦の手助けをした家臣たちをすべて劉邦の皇后が殺害する。歴史的事実はおいておくとして、この流れがすばらしい。劉邦のために必死で戦った家臣たちが、いわれのない罪を着せられ処刑されていく。ラストの流れは強烈にもの悲しいことは間違いない。

■ストーリー
暴政をふるう秦国を倒すため、若き名将軍の項羽と、彼に加勢した劉邦は自軍を従え進軍した。先に秦を攻落して新皇帝になろうとした劉邦は項羽に命を狙われ、宴席「鴻門の会」で陳謝。楚の覇王として権力を増す項羽に対し、漢王の座に甘んじる。そんな劉邦を支えたのは、元項羽軍の韓信だった。野心あふれる男たちの運命は壮絶を極めていく──。

■感想
革命のリーダー格であった項羽。序盤の凛々しい項羽とみじめな劉邦という図式から、劉邦がひそかに野望に心を燃やすシーンは強烈だ。項羽と劉邦のストーリーについては朧気ながら覚えている。みじめなふりをしていた劉邦が最後には項羽を倒してしまう。

いきなりそうなったわけではなく、項羽の家臣が劉邦側に裏切ったというのがある。鴻門の会という場で、劉邦を暗殺しようと考えていた項羽だが、それは失敗する。それを助けたのは、劉邦の家臣たちだ。鴻門の会で何が起きたかが詳細に語られている。

皇帝となった劉邦は、自分の地位を脅かす家臣たちを遠ざけたりもする。そこから、皇后が家臣たちに罪をきせ殺害しはじめる。劉邦のために項羽を裏切り、最後には項羽を倒した男が死刑の判決を受ける。どれだけ野心がないと説明したとしても信じてはもらえない。

劉邦が絶対的な権力をもってはいるのだが、皇后は圧倒的な残虐性をもちあわせている。それは、劉邦に裏切られた過去の思いがあるからなのかもしれない。単純に考えると劉邦には内緒で、皇后の判断で家臣を殺害したようにも見えてくる。

皇后を恐れるあまり、ひきこもり病気と偽り薬を作り続ける家臣もいる。劉邦が寝たきりであっても、皇后の暴走は止まることはない。皇后に呼ばれるということは、イコール死刑ということなのだろう。絶望的な表情で城に向かう家臣たち。この時代の皇帝周辺の絶対的な権力は圧倒的だ。

家来たちに書き取らせた後世に残す資料にしても、皇帝の意向でいくらでも書き換えてしまう。自分の人生を家臣に読ませ、そこで最終的な自分の運命を知るというのはかなり残酷な状況だ。

歴史的事実を知らなくても強烈なインパクトがあるのは間違いない。



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