コレクティブ 国家の嘘


 2023.9.11    消毒液の重要さがよくわかる【コレクティブ 国家の嘘】

                     
コレクティブ 国家の嘘 [ アレクサンダー・ナナウ ]
評価:3

■ヒトコト感想
ルーマニアのクラブで発生した大火事。そこで犠牲となった人々。火傷を負った人々は病院へと担ぎ込まれるが、その病院は不正にまみれており院内の消毒液が10倍に希釈されていた。その結果、院内感染が蔓延し本来助かるはずの人々が死亡していた。これを機会に病院経営者と政府内部の不正が明らかとなる。

汚職にまみれた世界。内部告発者からの情報でスポーツ紙が衝撃の真実をスクープする。新たに就任した保険省の大臣はこれまでの不正を明らかにしようと奮闘する。病院が建つ市の市長までもが不正に加担しているのは強烈だ。院内感染の悲惨な映像はすさまじい。大やけどを負った女性の姿が登場してくるのだが、かなりショッキングな映像だ。

■ストーリー
2015年10月、27名の死者と180名の負傷者を出す大惨事となったルーマニア・ブカレストのライブハウス“コレクティブ"での火災。一命を取り留めたはずの入院患者が複数の病院で次々に死亡、最終的には死者数が64名まで膨れ上がってしまう。事件を不審に思い調査を始めたスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長は内部告発者からの情報提供により衝撃の事実に行き着く。

その事件の背景には、莫大な利益を手にする製薬会社と、彼らと黒いつながりを持った病院経営者、そして政府関係者との巨大な癒着が隠されていた。一方、報道を目にした市民たちの怒りは頂点に達し、内閣はついに辞職へと追いやられ、正義感あふれる保健省大臣が誕生する。彼は、腐敗にまみれたシステムを変えようと奮闘するが…。

■感想
クラブの火事に始まり、そこから病院への不正へとつながる。この事件をきっかけとして、内閣が総辞職するのがすさまじい。政府関係者と病院経営者の巨大な癒着が明らかとなり、市民が怒りくるう。スポーツ紙のスクープからスタートする報道合戦。

編集長は内部告発者から情報を集める。衝撃的なのは、ルーマニアの病院での院内感染が他の国から比べると格段に高いという部分だ。それを知りながら政府は問題に目を瞑ってきた。単純に消毒液を10倍に薄めることで差額で利益を得て賄賂としていた。

消毒液を10倍に薄めたことで消毒の役目がなくなり、それにより院内感染が蔓延するというのに驚いた。なんだかんだと気休め程度に考えていた消毒液が実はものすごく重要だったのだろう。映像として院内感染し顔の周りにウジが湧いているシーンが登場してくる。

何も手を付けられない状態となり、病院は手を出さない。患者はなぜ自分がこんな目にあっているのかわからずに死んでいく。若者たちがクラブでの火事により多数死亡する。本来ならクラブの非常口の問題のみが取り上げられるはずが…。

終盤では実際に火事で病院へ入院し、そこでの被害で手の指がすべてなくなり、顔にも大やけどを負った者が登場してくる。指がないのでメカのようなものを手に付けて指として動かしている。強烈なインパクトがあるシーンが続々登場してくる。

正義感にあふれた新しい保険省の大臣がすべてに対して誠実に対応していることがよくわかる。大量の市民からの質問状に苦笑いしながら、明日にはすべて回答すると言っていたことに感動してしまった。

衝撃的な作品だ。



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