ココ・アヴァン・シャネル


 2024.4.13    シャネルは押しかけ愛人をやっていた【ココ・アヴァン・シャネル】


                     
ココ・アヴァン・シャネル [ オドレイ・トトゥ ]
評価:3

■ヒトコト感想
ナイトクラブの歌い手でしかなかった少女ココがシャネルになるまでを描く。メインは男に依存しなければならない女性の立場に反発するココが描かれている。合間には、デザイナーとしての優れた部分が垣間見える場面はあるのだが、男に飼われる人生を打開したいという思いが強く描かれている。田舎のナイトクラブの姉妹が、権力者の妻や愛人になることで優雅な暮らしを得ることができる。

当時としてはあたり前で権力者は大きな屋敷に愛人専用の部屋を用意したりもする。ココは半ば強引にバルサンの家に押しかけている。バルサンが求めてココを愛人として家に囲っているというイメージだったが、正反対でココが無理やり押しかけたような感じに驚いた。

■ストーリー
田舎のナイトクラブからパリへ、そして世界へ──コネクションも財産も教育もない孤児院育ちの少女が、世界のシャネルになるまでの物語。その小さな少女は、フランスの田舎にある孤児院に姉と一緒に入れられて、毎週日曜、決して来ることのない父親の迎えをひたすら待ち続けた。ナイトクラブの歌手になり、酔った兵士を相手にか細い声で歌い――つつましいお針子として、田舎の仕立屋の奥でスカートのすそを縫う日々。この小柄な若い愛人にエティエンヌ・バルサンが与えたのは、退屈で退廃的な暮らしと安全な隠れ家。

■感想
ナイトクラブで姉妹で歌を歌うことで小銭を稼いで生活していたココ姉妹。クラブを首になり姉は権力者の妻になる。独りぼっちのココは、知り合った資産家であるバルサンの家に押しかけることになる。まずここで驚きなのは、バルサンが最初はココを追い出そうとしていたことだ。

何度も馬車を用意したから明日出発しろ、というのをココは巧みにはぐらかしている。愛人としてバルサンの寵愛を受けたという描かれ方はされていない。つまり、ココは厄介な存在ということだ。

ココは服を作る能力はあり、自分でなんでも作ってしまう。バルサンが用意した美しいドレスを着ずに、自分が作ったシンプルな服を着て晩餐会に出る。明らかに周りの女性と比べて浮いている。そのこともバルサンはココを排除しようとする理由のひとつだ。

バルサンはしばらくの間はココを自分の恥部として扱っていた。ココもそのことを理解しており、あえてバルサンに反発している。とても居候している愛人の態度ではない反発心をバルサンに見せている。本作を見ると、バルサンの大人の対応が印象深い。

バルサンの知り合いであるボーイと恋をするココ。ここでココは変わっていく。ココがボーイに恋をしていると知ると、バルサンはココの気持ちを振り向かせようとする。ココは独自の道を行くとして、バルサンの気持ちの変わり具合がすさまじい。

もしかしたら、最初からなんだかんだ言ってココに興味をもっていたのかもしれないが…。デザイナーとして成功するまでの苦悩はほとんど描かれていない。バルサンの屋敷での生活から、シャネルとして成功するまでが大きくはしょられている。

かなりの変わり者だというのは良くわかった。



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