金の国 水の国


 2024.4.9    金の国の王女がぽっちゃりなのには意味がある【金の国 水の国】


                     
金の国 水の国 [ 岩本ナオ ]
評価:3

■ヒトコト感想
漫画原作らしい。漫画は未読。原作の長さ的にコミックス1冊なので、シンプルにアニメ映画化しやすい作品のようだ。100年国交を断絶しているふたつの国の王女と科学者の息子がお互いに夫婦を偽装しながら、それぞれの国の問題を解決していく。序盤から金の国の末端の王女であるサーラがぽっちゃりした体形をしている。

これが意味あるぽっちゃりなのか、単純に絵柄としてぽっちゃりの女性なのかが不明だったのだが…。ちゃんとぽっちゃりには理由があった。絶世の美女というふれこみで水の国の王に紹介される場面で、太っているだとか、美女ではないと言われる。美男美女たちが国のために頑張るような漫画的な展開ではなく、国も人もコンプレックスを抱えているというのが本作は如実に描かれている。

■ストーリー
敵国同士の2人が偽りの夫婦に!? 2人だけの“小さな嘘”は、国の未来を変えるのか――。100年断絶している2つの国。“金の国”の誰からも相手にされないおっとり王女サーラと “水の国”の家族思いの貧しい建築士ナランバヤル。 敵国同士の身でありながら、 国の思惑に巻き込まれ“偽りの夫婦”を演じることに。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、真実を言い出せない不器用な2人の<やさしい嘘>は、 国の未来を変えるのか――

■感想
金の国の末の王女の元に、水の国から婿が送り込まれてきたのだが…、それは犬だった。同じく水の国の技術者の息子であるナランバヤルの元に金の国から絶世の美女が送り込まれたのだが…。それは猫だった。

対立している2か国は戦争のきっかけをつかむために、相手が怒るようなことをしようとする。そんなことを知らず、ナランバヤルとサーラはひょんなことから出会い。お互いが相手を結婚相手と紹介することになる。国の思惑に気づいたふたりが国同士の戦争を避けるために動き出す物語だ。

サーラとナランバヤルはそれぞれ相手に興味をもっている。ただ、それを表に出さずに国のために頑張ることに力を注ぐ。金の国は水が不足しているが、国は栄えている。対して水の国は国自体が貧困にあえいでいる。

戦争をしたら圧倒的な技術と豊かさで金の国が勝つのだろう。それに気づいたナランバヤルは、水の国から水路を引くことで戦争を避けようとする。水路ができるのが50年後ということであっても、それを受け入れるほど壮大な物語となっている。

ごちゃごちゃありながら、サーラとナランバヤルの協力により国同士の戦争は避けられそうになるのだが…。やはり印象的なのはサーラのコンプレックスだ。ナランバヤルと城の内部を逃げる際に、自分が体重が重たいから足場が崩れるといってみたり。

何かと自分のことを卑下している。真実を言い出せないふたりが、お互いの誤解で打ち解ける場面は最高だ。登場人物たちは、芯からの悪者はいない。金の国の王であっても国のための思ってのことだ。

ずいぶんとさわやかなアニメ映画だ。



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