キーパー ある兵士の奇跡


 2023.1.13     元ナチス兵士がマンCの正GKとなる【キーパー ある兵士の奇跡】

                     
キーパー ある兵士の奇跡 [ デヴィッド・クロス ]
評価:3

■ヒトコト感想
実在の人物を描いた作品。ナチス兵士だったトラウトマンが捕虜となり、イギリスの収容所でサッカーをはじめ、最終的にはマンCの正ゴールキーパーとなる。イギリスからするとナチスの兵士がキーパーとしてプレイしていることに不満をもつ者もいるだろう。つい最近まで戦争をしていた敵対国の兵士だった男。ユダヤ人が多く住む地域というのもまたあるのだろう。

トラウトマン自身が兵士時代の自分の行動に違和感をもったまま試合に出続ける。今であればドイツの選手がイギリスのチームに参加するのは当たり前だが…。脊椎を損傷しながらもチームをFAカップ優勝に導く活躍をする。トラウトマンの心の中には常に兵士時代の苦悩を抱えたままのプレーとなっている。

■ストーリー
1945年、ナチスの兵士だったトラウトマンは捕虜となり、イギリスの収容所でサッカーをしていた時、地元チーム監督の目に留まり、ゴールキーパーとしてスカウトされる。やがてトラウトマンは、監督の娘マーガレットと結婚し、名門サッカークラブ「マンチェスター・シティFC」の入団テストに合格する。だが、ユダヤ人が多く住む街で、トラウトマン夫妻は想像を絶する誹謗中傷を浴びる。それでも、トラウトマンはゴールを守り抜き、マーガレットは信じ続けた。

やがて、彼の活躍によって、世界で最も歴史ある大会でチームは優勝、トラウトマンは国民的英雄となる。だが、トラウトマンは誰にも打ち明けられない<過去の秘密>を抱えていた。そしてその秘密が、思わぬ運命を引き寄せてしまう―。

■感想
ナチスの兵士が収容所でサッカーをしていたところ、すばらしいプレーをしたからと地元のサッカーチームに参加することになる。ナチスの兵士としてイギリスの収容所に捕らえられ、強制労働させられていたトラウトマン。

辛い仕事よりはということでサッカーチームでキーパーをするのだが…。思いのほかトラウトマンはキーパーの才能があり、地元のサッカーチームのヒーローとなるはずが…。実際にナチスの兵士が終戦後すぐにイギリスでサッカーをしていたら、イギリス国民としては微妙な心境だろう。

地元のサッカーチームの監督の娘と結婚し、プレイが認められマンチェスターCに移籍する。これほど順風満帆な人生はないだろう。ナチス兵として収容所で野垂れ死ぬ可能性すらあったというのに。ただ、そこから一波乱ある。

有名プロチームに移籍したことでトラウトマンの出自がクローズアップされる。ナチス兵として勲章をもらっていた過去があり、世間から大バッシングをくらう。ここで強烈なのはチームがトラウトマンを見捨てなかったことだ。世間の風当たりに負けないのがすばらしい。

ナチス兵の経験からトラウマがあり、息子を事故で失うなどあったが、最終的には脊椎を損傷しながらもチームをFAカップ優勝へと導く。複雑な状況であることは間違いない。ナチス兵のトラウトマンが国民的英雄となるまでを描いているのだが…。

トラウトマン絡みの感動とは別に、当時のサッカーチームでマンCやアーセナルが今と変わらないチームのユニフォームカラーということがなんだかうれしくなった。当時のサッカーのレベルの違いはあるのだが、サッカーの歴史を感じさせる作品だ。

実話はやはり感動がある。



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