鑑定士と顔のない依頼人


 2022.11.10     少し変わったコンゲーム【鑑定士と顔のない依頼人】

                     
鑑定士と顔のない依頼人 [ ジェフリー・ラッシュ ]
評価:3

■ヒトコト感想
凄腕鑑定士のオールドマン。オークションで自分がほしい作品があれば、仲間と共謀し手に入れてしまう。そして、自分の屋敷の秘密の部屋に大量の絵画を展示しておく。オールドマンのきっちりとした性格と依頼人に対しても厳しいスタンスで押し通す考え方。若い女性からの、屋敷の絵や家具を査定してほしいという依頼から物語は変化してく。

最初はなんだかんだと理由をつけて姿を見せない。そこから先では、姿を見せず壁越しに会話を続けることでオールドマンは女性に興味を持ち始める。この女性が本当に存在するのかが序盤の謎で、終盤ではとんでもないどんでん返しがある。すべてはオールドマンをはめ込むために最初から仕組まれていたことだった。かなり強烈なラストだ。

■ストーリー
物語の始まりは、ある鑑定依頼。引き受けたのは、天才的鑑定眼をもち、世界中の美術品を仕切る一流鑑定士にして、オークショニアのヴァージル・オールドマン。それは、資産家の両親が亡くなり、屋敷に遺された絵画や家具を査定してほしいという若い女性からの、ごくありふれた依頼のはずだった。ところが──依頼人は嘘の口実を重ねて決して姿を現さない。ヴァージルは不信感を抱くも、屋敷の床にもしそれが本物なら歴史的発見となる、ある美術品の“一部"を見つけ、手を引けなくなる。

やがて、彼女が屋敷の隠し部屋で暮らしていることを突き止めたヴァージル。決して部屋から出てこない彼女と壁ごしのやり取りを重ね、我慢できずに姿を覗き見たヴァージルは、美しいその姿にどうしようもなく惹かれていく。ところが、ある日、彼女が忽然と姿を消す─。果たして奇妙な鑑定依頼の本当の目的とは?ヴァージルの鑑定眼は本物か、節穴か?謎はまだ、入口に過ぎなかった──。

■感想
すばらしい鑑定眼をもち有名鑑定士であるオールドマン。そのオークションには多くの人が集まるのだが…。ひそかにオールドマンは自分が気に入った絵画は、自分が手に入れるように仲間と共謀しオークションで競り落としている。

価値のある作品を安く値付けしそれをオークションで売りさばく。オールドマンのきっちりとした生活と、集めた絵画を秘密の部屋に隠し、夜な夜なそこで絵画を眺めるのが楽しみというキャラクターが作り上げられる。そこから、オールドマンの元に謎の女からの依頼が入る。

最初はなんだかんだと理由をつけてオールドマンと会うことを避ける。激怒するオールドマンに対して自分は病気で人と会えないと告白する。そこから壁ごしでの奇妙なやりとりがスタートする。中盤にかけてはこの謎の女が本当に存在するのか。

ロボットか何かではないかと想像してしまう。そこから、こっそりとオールドマンは隠れて女の姿を見るのだが…。若く美しい女が出てきたことで驚く。そして、オールドマンは女にぞっこんとなるのだが…。ここからオールドマンと女の幸せな生活が続くかと思いきや…。

後半は怒涛の展開となる。オールドマンが集めた絵画がすべて盗まれていた。それは若い女の仕業だった。すべては仕組まれたことで、オールドマンはショックから廃人のようになってしまう。オールドマンが警察に駆け込まないのは、自分にもやましいことがあったからだろう。

美術的価値のある作品を多数手に入れる可能性があり、若い女と幸せな生活を過ごす未来がある。そんな幸せの絶頂から一気にどん底に叩き落される。昔からあるコンゲームのパターンなのだが、設定が奇抜なので新しく感じてしまう。

強烈なインパクトのある作品であることは間違いない。



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