神の呪われた子 池袋ウェストゲートパーク19 


 2024.4.1      インチキ宗教から宗教2世を救い出せ 【神の呪われた子 池袋ウェストゲートパーク19】


                     
神の呪われた子 池袋ウエストゲートパークXIX [ 石田衣良 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
IWGPシリーズの第19弾。世の中の流れに合わせて様々な事件が発生し、それを池袋のトラブルシューターである誠が解決する。仮にリアルタイムに時間が経過していたとしたら誠は50代だろう。いつまでも20代で小さな果物屋の店番をしている誠がトラブルを解決する。推し活がエスカレートした結果、推しの個人情報を売買するサイトまで出来上がるのは異常だ。

ヴィンテージのウィスキーが億に到達するなんてのは、全く知らなかった。宗教2世の問題については、少し前に話題になっていた某宗教団体のニュースが大きいのだろう。結論から言うと、すべてGボーイズとタカシの力を使って解決しているので、誠が直接何かをしたわけではない。ワンパターンではあるが、事件が時事を意識しているので新しさを感じるのだろう。

■ストーリー
インチキ教祖から宗教2世の少女を救い出せ!ウイスキーバブル、過激な推し活、連続強盗団……停滞する日本で起こっているトラブルに、マコトが立ち向かう。シリーズ第19弾。女子高生のルカは、父親が亡くなり、新興宗教「天国の木」に走った母親に養育放棄されている宗教2世だ。

マコトや自身も宗教2世だった子ども食堂の主催者・アズはルカに親身に接するが、彼女が教祖の目に留まり、花嫁候補に選ばれてしまう。さらに、教団には教祖直属で荒事を請け負う部署があり、マコトたちに悪質な嫌がらせを仕掛けてくる。マコトとタカシは、Gボーイズを動員し、ルカを救い教団をたたく計画を練るが……。表題作のほか、投機目的で高騰するビンテージ・ウイスキーを狙うバイヤー、過激な推し活をする〈私生(サセン)〉、闇バイトの連続強盗団が登場。難破船さながらの日本で起きている事件を鮮やかに切り取る全4編。

■感想
ウィスキーバブルの物語は強烈だ。老舗のバーに怪しげな男たちがウィスキーを買い付けにやってくる。ウィスキー1本が億を超えるなんてのは信じられない。中国で日本のウィスキーバブルが起きているのは知らなかった。

ビンを落として割ったりすれば、すべてがパーになる。ビンテージワインのようにビンテージのウィスキーも価値がでているのだろうか。誠とGボーイズがいつもの感じで荒っぽい買い付けグループを追い出している。合間に、シングルマザーに虐待を受けている子供が登場するなど、多数の要素がある。

過激な推し活は強烈だ。韓国人と日本人の合同グループが大人気となる。BTS的な雰囲気のグループであり、熱烈なファンがいるのは想像できる。そして、行き過ぎたファンたちは、メンバーの個人情報を得ようとする。

情報の売り買いができるサイトがあるのは事実なのだろう。乗りこむ飛行機の便名や移動手段は大好物。明らかに関係者しか入手できない情報を闇サイトで売り買いできるのは衝撃的だ。個人情報保護なんておのはないに等しい。有名人にとっては嫌な時代になったのは間違いない。

インチキ宗教の宗教2世問題は強烈だ。生まれたときから宗教の刷り込みをされる。そのことが異常だと気づけばよいが、世間の2世の大多数は気づかずに生活することになるのだろう。今回のインチキ宗教があからさまに若い女の子を自分の嫁にするなんてことをするので、明らかにおかしいとわかるのだが…。

巧妙に隠されていたとしたら、宗教の自由や親の親権を振りかざされると、宗教2世を救い出すことはできないだろう。周りがどうこうできることではないのがつらい。

Gボーズとタカシを抜きにしてこのシリーズは成立しない。



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