呪術廻戦 逝く夏と還る秋 


 2024.1.26      虎杖たちの高校生らしい日常 【呪術廻戦 逝く夏と還る秋】


                     
呪術廻戦 逝く夏と還る秋 [ 芥見下々 ]
評価:3

■ヒトコト感想
漫画はすべて読んでいる。漫画のキャラクターを使い、独自の日常を描いた5つの短編。虎杖たちの日常や、五条と七海の出張任務。超脇役である伊地知の日常の物語、呪霊である真人と老人の交流などかなりバレエティに富んでいる。漫画では殺伐とした展開が続いていくので、本来なら当たり前にあるはずの同級生同士の日常というのが良い。

それぞれのキャラ付けは漫画で確立されているので、そのキャラの特性を使った日常というのは良い。また、漫画ではフューチャーされることのない伊地知がどのような仕事をしているかなども面白い。漫画ファンでも間違いなく楽しめるだろう。本作が漫画にされてしまうと微妙だが、小説だからこそ成立する物語だ。

■ストーリー
虎杖の死の直前から、交流会開始までの空白の物語が描かれる小説版が登場! 里桜高校での事件後、虎杖はある呪いに悩む少年と出会う。しかし、その呪いは倒しても倒しても蘇り、少年を苦しめる特殊な呪いだった! 順平を助けられなかった後悔から虎杖は自信を喪失していくが、そこで五条はある問いを投げかけ...他にも虎杖と伏黒の秋葉原散策、五条と七海の北海道出張、真人とある老人の交流、伊地知のお仕事大公開と、大ボリュームでお届け!

■感想
「休日廻戦」はまさにこれぞ虎杖たち高校生の日常という感じが良い。虎杖悠仁と伏黒恵、釘崎野薔薇の日常が描かれており、そこに五条も登場するという流れだ。呪霊と戦うわけではない。秋葉原で自由にふるまう五条、自分の趣味に走る虎杖。

虎杖に付き合ったことに後悔するとういう伏黒。まさに漫画のキャラクターの日常がそのまま描かれている。くそ真面目な伏黒がメイド喫茶に連れられ困惑する場面は、そのままキャラクターが動く映像が頭に浮かんできた。

「闇中寓話」は詳しく描かれることない真人の日常が描かれている。真人を含めた呪霊たちにとって人間はどのような存在なのか。真人と目の見えない老人が交流する。まず、老人がなぜ目が見えない状態になったのか。

衝撃的な人生を送ってきたことが老人の語りからわかる。それを聞いても大した反応を見せない真人。ただ、目が見えない老人は真人の存在に気づき話しかけてくる。人間と真人の短いながらの交流というのはかなり異質だ。老人が若者に殺された際に、真人がどんな感情になったのかは描かれていないが…。

「守鬼幻視行」はわかりやすいヒーロー虎杖という感じだ。家に住み着いた鬼を払うために虎杖は動き出す。漫画のひとつのエピソードとして登場してもよいくらいの内容だ。呪霊は人の思いから生まれる。それが意図しない形で顕現する場合もある。

呪霊との対決をメインとするのではなく、登場人物たちのバックグラウンドまでを想像し、虎杖が行動しているのが良い。伊地知の日常の中での虎杖の気の使い方といい、少年漫画の主人公にしては虎杖は気をつかうことができるキャラだ。

漫画ファンも楽しめる内容だ。



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