人生最高の贈り物


 2022.5.4      実家に帰ってきた娘の事情【人生最高の贈り物】

                     

評価:2.5

■ヒトコト感想
妻を亡くし、ひっそりと一人暮らしをしていた亮介の元に、嫁いだ先から娘が帰ってきた。スーツケースをもち突然帰ってきたという。となると、父親として考えるのは、夫と喧嘩でもしたのか?ということだ。もしかしたら離婚もありうると考える状況なのだが…。

娘は何もないと言う。亮介からすると、娘との二人暮らしは、娘の魂胆がわからないため違和感がある。物語のポイントは、亮介は妻が亡くなったあとで、ひとりで生活するために料理や家事をしっかりとやっていることだ。娘の帰ってきた理由と、それを知ったあとの亮介の心境はかなり複雑だ。終始、娘が亮介に対して敬語を使っていることに妙な違和感を覚えてしまった。娘が帰ってきた理由を夫から亮介が聞くシーンが物語のピークだ。

■ストーリー
早くに妻を亡くし東京で一人暮らしをする笹井亮介(寺尾聰)のもとに、長野で夫(向井理)と穏やかに暮らしている、一人娘のゆり子(石原さとみ)が突然帰ってくる。ゆり子は人知れず余命宣告を受けていた。余命わずかなことを隠し、父のもとへ里帰りした娘。そして、そんな娘に戸惑う父。家族や彼女を取り巻く人々は、大切な人に降りかかった運命をどう受け入れ、どう向きあい、そしてどんな同じ時を過ごすのか?

それぞれの人生や思いが交錯する中で、ゆり子が胸に秘めていた決断とは…?相手を思いやる心、ひたむきに生きる姿勢…そんな「家族の絆」や「人としてあるべき姿」を、切なくも温かく描いた愛と感動のヒューマンドラマ。

■感想
料理教室へ通い、料理好きとなった亮介。それまで家のことはまったくやらず、妻にまかせっきりだった男が、妻の死をきっかけに生まれ変わる。家庭的となり、編集者へ手料理を振る舞ったりもする。そこへ突然娘が帰ってきた。

娘からすると、家事全般が苦手な父親というイメージがあったのだが…。父親の変わりように驚いている。この父娘の微妙な距離感というのが良い。常に娘が敬語というのもふたりの間に距離があるように思えてくる。突然娘が実家に帰ってくるとなると、どうしても父親は良いイメージがないのは当然だろう。

娘は何も言わない。となると、娘の夫の方に確認をとるしかない。亮介は、夫から娘が実家に帰ってきた真相を聞くのだが…。かなり強烈だ。まさか自分の娘が末期がんで、残りの時間の半分を父親と過ごしたいと言うとは考えもしていないのだろう。

この場面での亮介の表情がすさまじい。最初はなんてことない表情をしていたのが…。ゆっくりと表情が変わっていく。予想外な答えを聞いた瞬間のとてつもない衝撃というのが伝わってきた。それを告げる夫がやけに冷静なのは、すでに悲しみを超えた段階にあるからだろう。

娘と父親の関係が描かれているのだが…。世間の父親は恐らくは本作のような態度となってしまうのだろう。娘に対してどこまで距離を縮めたら良いのかわからない。いざ娘とふたり暮らしとなると、微妙な感じとなってしまう。何も知らない体で、亮介は娘に接しようとするのだが…。

娘は亮介の変化を敏感に感じとってしまう。化かし合いでは男は女性にはかなわないのだろう。娘が夫の元に帰る場面は、死を感じさせる描写はない。それでも、これからは死しかないというのがひっそりと伝わってきた。

娘と父親の関係が微妙になるのはしょがないことなのだろう。



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