犬とペンギンと私 (幻冬舎文庫) [ 小川糸 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
小川糸の日記エッセイ。今回はインドへの旅行、ベルリンでの生活、犬のコロとの生活、新しく加わった犬のゆりねとの生活がエッセイとして描かれている。海外での生活については、ある程度他のエッセイで描かれていた内容なので、特別な目新しさはない。本作のメインはコロとの生活だろう。他作品で子供を作ることをあきらめてというエッセイがあった。
コロをまさに家族のように扱い、ゆりねについては生まれたてというのもあるのだろうが、まるで子供を育てるように大事に育てている。ゆりねは犬専用の保育園にあずけたりと、小さいころからしつけや教育について気を使っているのがわかる。コロの許嫁としてやってきたゆりねとコロの結末は他エッセイで描かれることだろう。
■ストーリー
女子四人組で旅したインドでは、ヨガとカレー三昧。仕事で訪れたパリでは、お目当てのアップルパイを求めて一人お散歩。旅先で出会った忘れられない味と人々。でも、やっぱり我が家が一番! 新しく家族の一員になった愛犬と〝ペンギン〟の待つ家で、パンを焼いたり、いちじくのジャムを煮たり。毎日をご機嫌に暮らすヒントがいっぱいの日記エッセイ。
■感想
インドでのヨガとカレー三昧はよくある旅行エッセイの風味だ。海外での生活では作者の他エッセイでもいくつか読んだことがあるので、特別な印象はない。ただ、今回は様々なトラブルもあわせて描かれている。
ベルリンでの長期滞在で移動した際に、4つのスーツケースがロストバッゲージしてしまったらしい。様々な生活雑貨や衣料品が入っているのだろうが、長期間それらがない状態での生活はつらい。さらには、追い打ちをかけるように見つかったスーツケースはあまざらしだったので、中身はカビだらけという最悪な状態だったようだ。
本作のメインは犬との生活だろう。コロとの生活は、コロがわがままで自己主張が激しいというのがエッセイで描かれている。気に入らないことがあると、所定の場所でトイレをするのではなく、フローリングに粗相をする。
犬自身の自己主張なのだろう。ベルリンでの数か月の旅行では、長期間実家にコロを預けていたせいで、自分たちのことをコロがすっかり忘れているという衝撃な出来事に出会う。犬はそこまで短期的な記憶しかないのだろうか?驚きな部分だ。
コロの許嫁として生まれたばかりのゆりねがやってきた。このゆりねについて描かれているエッセイは、まさに子供の成長を見守るのと同じレベルだと感じた。特に、生まれてから数か月で犬の保育園に預け、犬としてしっかりしつけを行っていることに驚いた。
おそらくは当たり前のことではないのだろうが…。コロとゆりねは許嫁ではあるが、それぞれが本当にカップルになるかは、まだ描かれていない。他エッセイで、このあたりの続編は描かれることだろう。
犬の要素が強い日記エッセイだ。