インヘリタンス


 2023.4.21     30年間監禁され続けた男【インヘリタンス】

                     
インヘリタンス [ リリー・コリンズ ]
評価:3

■ヒトコト感想
タイトルのインヘリタンスは「継承」という意味がある。何を継承するかというと…。資産家の父親が死んで長女であるローレンが父親の秘密を引き継ぐことになる。名家ということで弟は代議士でローレンは検事だ。エリート家系であり父親が死んだ際の遺産はほぼすべてが弟に渡ることになる。ここに若干の違和感があったが、その謎は最後にはっきりとする。

ローレンが父親から引きついだのは地下室のカギだった。その地下室には30年間地下に監禁された男がいた。。。なぜ父親はこの男を監禁していたのか。父の罪を引き継いだローレンが男を解放すべきか悩み苦しむ作品だ。ラストでの怒涛の展開が衝撃的だ。ローレンが正義と家族の名誉のはざまで苦しむ物語だ。

■ストーリー
深淵へようこそ。ニューヨークの政財界に絶大な影響力を持つ銀行家のアーチャー・モンローが急逝した。アーチャーの遺産は妻と政治家の息子、そして地方検事である娘のローレン(リリー・コリンズ)へと相続された。さらに、ローレンへはアーチャーからの「真実は掘り起こすな…」という遺言とともに1本の鍵が遺されていた。ローレンは遺言を頼りに邸宅の裏手に隠された扉を発見する。鍵は地下室への扉を開けるものだった。

地下へ足を踏み入れたローレンは、鎖に繋がれた男(サイモン・ペッグ)を発見する。モーガンと名乗る男は、30年に渡りアーチャーの手で監禁されていたと語り始める。果たして、30年前の因縁とは?そこにはモンロー家にまつわる忌まわしき秘密が隠されていた――。

■感想
資産家のアーチャーが死亡した。遺産を受け継いだローレンは父親の犯した罪を知る。まず、アーチャーの遺産分配の場面でローレンだけが不当に遺産が少ないことが強調されている。アーチャーの遺言に沿う形なのだが母親や弟はローレンに同情したりもする。

なぜ期待されていたローレンが不当に遺産が少ないのかはラストで判明する。父親の残した最大の負の遺産は地下室のカギだった。本作では知らなければ良いことは知らない方が良い、という言葉が盛んに登場してくる。検事である正義のローレンは不正を知らない方が良いという流れもある。

弟が選挙にでる。その際の不正の真実については、弟は検事である姉には真実を知らせていない。これこそ知らない方がお互いのために良い、という考え方だ。もし仮に知ってしまったとしたらローレンは自分の中の正義と家族の幸せのはざまで苦労することになる。

知らなければよかったことの最大は地下に監禁された男の存在だ。男からは父親の罪を知らされる。父親は自分を守るために男を30年もの間監禁し続けていた。正義のローレンとしてはあらゆる手段を使い男の言うことの裏どりをし、父の罪が正しいのかを判断しようとする。

ローレンは家族の名誉と自分の正義を天秤にかけ、正義のために男を解放しようと考えるのだが…。ここでは今までとはあべこべにローレンは家族や弁護士には知らない方がよいということで男のことを知らせることはない。それがあだとなり母親が偶然男の写真を見て、真実が明らかとなる。

衝撃的なのは、男が実はローレンの父親だったという部分だ。アーチャーはそのことを知っていたのでローレンに対する遺産を低くしていた。ローレンの正義があだとなった瞬間だ。

30年もの間、監禁され続けることは衝撃的すぎる。



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