2023.9.19 鬼刑事が音楽隊へ【異動辞令は音楽隊!】
異動辞令は音楽隊! [ 内田英治 ]
評価:3
■ヒトコト感想
ベテラン刑事である成瀬は事件解決に心血を注ぐあまり違法すれすれの捜査を行う。昔ながらの鬼刑事のイメージなのだろう。部下を怒鳴りつけることから始まり、犯人の手がかりをもつ者に対してのあたりは強烈だ。そんな態度の成瀬に対して上層部はついに決意する。
成瀬の異動先は音楽隊だった。逆に今まで良く刑事でいられたなぁ、というような昔ながらの鬼刑事だ。上司にたてついたのが始まりなのだが、自業自得でもある。音楽隊でも成瀬はすんなりとはなじめない。他の部署と兼業で音楽隊をやる者たちばかり。やる気のない音楽隊ではあるが、中には音大卒でトランペットに力を注ぐ交通課の婦警もいる。ラストの犯人逮捕の場面はとってつけたようではあるが、音楽隊がらみの部分は楽しめた。
■ストーリー
犯罪撲滅にすべてを捧げてきた鬼刑事・成瀬司。だが、警察でもコンプライアンスが重視される今の時代に、違法すれすれの捜査や部下を追い詰めるマウンティングで、周囲から完全に浮いた存在になっていた。出世に興味がなく上司に楯突き、遂に命じられた異動先は、まさかの警察音楽隊!
■感想
コンプラが重視されるこの時代に成瀬のような刑事は居場所がないのは当然だ。捜査会議の場で、くだらないからと新聞を広げて読む。本部長の前でも当たり前にたてつく。その結果、成瀬は音楽隊に飛ばされてしまう。逆に今まで成瀬のような刑事が刑事課にいられたのが奇跡のような感じだ。
パワハラの投書があったということで、成瀬は大人しく音楽隊へ異動することになるのだが…。刑事に生きがいを感じていた男が、音楽隊へ異動してまともにやれるはすがない、というのは皆が思うところだ。
音楽隊はちょっとした公民館を借りて練習しているのだが…。皆のやる気がない。警官としての仕事をしながらの兼務なので疲れている。練習がまともにできないので本番がうまくいくはずもない。音楽隊内部では仲間割れが当たり前に行われる。
成瀬のスタンスとしても、音楽隊なんかをマジメにやるつもりはなかったのだろう。それが、音楽隊を楽しみにしている市民の姿を見て、成瀬は気持ちを入れ替える。同じ音楽隊でシングルマザーの婦警がおり、必死にがんばっている姿に感化される。
成瀬はいつの間にかドラムが様になっている。音楽隊もそこそこ形になるのだが…。本部長が予算削減のため音楽隊を廃止しようとする。定番的な流れではあるが、成瀬は自分が刑事だったころに逮捕できていない犯人を逮捕するためにある計画をたてるのだが…。
成瀬の強烈にインパクトのある行動の数々がすさまじい。最後の犯人逮捕の下りは、老人であるはずの犯人が屈強な男たちを次々と返討ちにしている部分に違和感を覚えずにはいられなかった。
鬼刑事が音楽隊へ、というのが面白い。
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