2022.8.5 弱小サッカークラブの悲哀【ホペイロの憂鬱】
ホペイロの憂鬱 [ 白石隼也 ]
評価:3
■ヒトコト感想
ホペイロという馴染みのない単語が登場するのだが、サッカーチームの用具係のことらしい。J3の弱小サッカークラブの用具係が主人公の本作。チームはJ2へ上がれるかも、という状況にある。資金繰りが厳しく人件費削減が必要。となるとホペイロはクビのターゲットとされてしまう。
ホペイロがどの程度チームにとって重要なのかが、描かれているようで描かれていない。どちらかというと、弱小サッカーチームの悲哀が描かれている。大口スポンサーのおばさんに対して選手や社長たちがヘコヘコする。元スター選手が所属しているが怪我を隠しながらプレイしている。このままJ2に上がったとしても親会社が代わるので広報やホペイロはクビになる可能性が高いなどなど。厳しい状況が描かれている。
■ストーリー
弱小プロサッカーチームの奮闘を、裏方であるホペイロ(用具係)の視点で描いた井上尚登の同名小説を実写化。不振が続くJ3のサッカークラブ。ホペイロの坂上は、チームがJ2に昇格できなければ解雇だと告げられ…。
■感想
どこの弱小プロサッカーチームも、本作と状況は変わらないのだろう。常に資金難で地元密着ではあるが、親会社の意向により大きく変わっていく。若手主体とはいえ、チームを勝たせるため、人気を維持するために有名選手を所属させる必要がある。
用具係は確かに重要な仕事ではあるが、資金難となったら一番にクビを切られるターゲットとなるだろう。ホペイロはホペイロなりのプライドや必要性をアピールしているのだが…。マッサージ師とホペイロが一番に切られそうになるのは普通のことだ。
チームが勝てない。監督は癖がある。地元密着でそれなりに人気はあるのだが…。大口スポンサーが詐欺の投資話をチームの社長にすすめてきたりもする。かなり先行きが不安なチームであることは間違いない。スポンサーのおばさん社長は、わかりやすいザ・スポンサーだ。
ダメな甥を従えてチームに激励にやってくる。選手や社長が出迎える。スター選手目当てでやってきたのだが…。サッカーチームとして、どのように強くなるか、ということよりも周辺の雑音が大きく描かれている。
J2に昇格したとしても、親会社が代わるため、ホペイロや広報係はクビになってしまう。本作でのホペイロは、選手の靴の減り方やメンテナンスで選手の体調がわかるという描かれ方をしている。このホペイロがいるおかげでチームが強くなっているという描写はない。
重要な仕事ではあるが、クラブ周辺のゴタゴタの方がメインとして描かれている。社長の苦悩や監督の特殊な状況も描かれており、元日本代表選手の怪我なども細かく掘り下げられている。
ホペイロはチーム周辺の出来事を傍観するという立場に見えてくる。
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