2022.8.17 神が偶然与えた三つ子の特殊能力 【ヒトコブラクダ層ぜっと 下】
ヒトコブラクダ層ぜっと(下)[ 万城目学 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
上巻では、すべてが謎な状態のまま、砂漠に埋もれた古代文明のド真ん中にやってきてしまった三つ子。予測不能な状態で、ゾンビ的な古代の兵士が襲いかかってくる。三つ子の3秒。特に梵人の3秒先が予測できる能力があれば、格闘に対しては無敵かと思われたのだが…。梵人が足をひねり骨折してしまう。これで無敵感がなくなり、先行きが不安になる。
海兵隊たちが次々と脱落していく中で、謎の古代文明内部で四苦八苦する三つ子たち。謎のラストはいちおう、すべての謎について回答は示されているのだが…。神の存在やなんやかんやでわけがわからなくなる。ただ、この不思議感が本作の魅力なのだろう。三つ子が能力を得た要因というのも語られている。
■ストーリー
マジでやって来てしまった、メソポタミア!梵天、梵地、梵人(三つ子)。砂漠に埋もれた古代文明のど真ん中で、生きるか死ぬかの奇跡の大作戦開始!!自衛隊PKO活動の一員としてイラクに派遣された三つ子。彼らを待ち構えていたのは砂漠の底に潜む巨大な秘密、そして絶体絶命の大ピンチだった! 展開予測は不可能。唯一無二の物語の紡ぎ手・万城目学、とどまるところを知らず。ページをめくるたびに新たな驚きが待ち受ける超ド級スペクタクル巨編、ここに完結!
■感想
壁を通り抜けて先を見る能力。どんな言葉でも理解できる翻訳能力。3秒先の未来が見える能力。この三つ子の能力があれば無敵と思われたのだが…。砂漠の謎の古代都市で、元の世界に戻るためにアメリカ海兵隊と共に奮闘する。
古代の兵士がゾンビのように体のどこを撃たれても死なない。唯一頭に銃弾を撃ち込むと砂煙となって消え去る。逆にゾンビに噛まれてしまうと人間も砂煙になってしまう。こんな状況で武器を用意していた海兵隊と共に古代の都市を脱出するために戦い続ける。
海兵隊は詳細を知らされていないが、準備をしておけと告げられる。すべての黒幕の正体が不明のまま、物語はすすんでいく。古代都市の起源や神の存在。三つ子がそもそも自衛隊に入ることになった女の正体。それらすべては明らかとなる。
結局、女は神ですべてを自分の計画のために三つ子を利用していた。後半は怒涛の種明かしの展開となる。すんなりとは納得できるはずのない三つ子なのだが…。本作は古代都市での戦いと、どのようにして砂漠から脱出するかが面白さのピークだ。
小難しい展開やありえないファンタジーが続く。三つ子が能力を得た原因は、神の移動する船が墜落したためだった。神により蘇った三つ子には特殊な能力が付与された。三つ子の能力が消え去り、そこから先は自分の夢のために動き出す。
ちょっとした感動物語か?というのはあるのだが、アメリカ海兵隊との再会の流れも良い。とんでもない危機を経験し、そこから生還した者たちだけが共有できる何かがあるのだろう。謎が明らかになる前の引きの強さはすさまじいものがある。
作者の作品らしい展開だ。
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