日付変更線 上 


 2024.3.1      第二次大戦での日系人の苦悩 【日付変更線 上】


                     
日付変更線 上 / 辻仁成
評価:2.5
辻仁成おすすめランキング
■ヒトコト感想
ハワイに住む日系人の物語。祖父の時代の物語が現代にも続いてく。第二次世界大戦でハワイの日系人の立場が語られる。アメリカ人ではあるが、日本人の血が入っているということで周りから白い目で見られる。アメリカへの忠誠心を示すために戦争に志願したりもする。そんな運命をたどった祖父たちの物語と、平和になったハワイで生活する現代の子孫たち。

マナとケインの祖父同士が実は戦争中に同じ部隊に配属されており、戦友だったとわかる。マナが祖父の骨を海に散骨するためにケインの店にやってくる。出会いは偶然ではあるが、祖父同士のつながりから、より親密になっていく。日系人が戦争中に厳しい立場に置かれたというのは想像できる流れだ。

■ストーリー
その出会いは偶然か、必然か。葬儀屋で働きながら作家を志す日系四世のケイン・オザキ。遺骨をハワイの海に撤いて欲しいという祖父の遺言を叶えるため、日本からやってきたマナ。ひょんなことから知り合った二人だったが、実は祖父同士が第四四二部隊という日系人だけで構成された第二次大戦の伝説的な陸軍部隊で戦友だったことが分かり、物語は大きく動き出す。七十年の時を経て紡がれる一大巨編。

■感想
葬儀屋で働くケイン。祖父の骨を海にまくためにハワイにやってきたマナ。ふたりの祖父が同じ部隊で戦争に参加していたと知り、ふたりの関係が変化していく。まず第二次世界大戦下での日系人の立場がつらいのは想像できる。

見た目がアジア人であり、日本と戦争しているアメリカからしたら、スパイ容疑をかけたくなるのも当然だろう。収監されたないためにあえて戦争に志願する。部隊長の扱いが、日系人たちの本気度によって変わっていく。普通のアメリカ人よりも、日系人は命を懸けて戦う必要があるのだろう。

上巻では日系人が戦争に参加することの苦悩と、周りの目の厳しさなどが描かれている。それぞれの祖父にどのような変化があったのか。日系人でありながらフランス人の名前に改名していた理由はなぜなのか。カオルという恋人がいたが、あえて連絡を取らずに行方不明となる。

その後、孫であるマナとカオルが再会する。ケインの取次があったにせよ、運命のようなものを感じずにはいられない。マナとケインの関係の変化も描かれており、まだ一方的にケインが恋しているという感じだ。

下巻ではマナとケインの関係に変化が訪れるのだろう。タイトルである「日付変更線」は、日付変更線をまたぐ度に昨日や今日になることを物語に取り入れているからだ。ハワイと日本の位置的な関係もあるのだろう。

よく考えれば線を越えただけで昨日が今日になるというのは混乱する要因だ。今日がない人という説明はよくわからない。過去がないというのとはまた違い、今日がない。常にあるのは昨日だけ。日系人の悲哀をベースにしつつ物語が描かれている。

下巻の流れが楽しみだ。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
*yahoo.co.jp