白鳥とコウモリ 


 2022.4.11      被害者の娘と加害者の息子が真相解明に動き出す 【白鳥とコウモリ】

                     
白鳥とコウモリ [ 東野圭吾 ]
評価:3.5
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■ヒトコト感想
東野圭吾の長編ミステリー作品。善良な弁護士が殺された。動機は過去の事件を暴露されると思った加害者の凶行ということだ。一筋縄ではいかないのは想像できた。動機の面で、過去の事件は時効となってはいるが、犯人だと名乗り出るのは勇気がいることだ。物語は殺人者の身内がどのような状況になるかが語られている。加害者の息子と被害者の娘が協力して事件の動機面での真相を明かそうとする。

中盤以降はその後の流れが想像できてしまうのだが…。構成がすばらしいので、ラストまで飽きることなく読むことができる。誰かをかばうために、自らが犯罪者となる。被害者に、過去に大きな秘密があったというのがすさまじい。被害者と加害者の身内の状況が逆転する物語だ。

■ストーリー
遺体で発見された善良な弁護士。一人の男が殺害を自供し事件は解決――のはずだった。「すべて、私がやりました。すべての事件の犯人は私です」2017年東京、1984年愛知を繋ぐ、ある男の"告白"、その絶望――そして希望。「罪と罰の問題はとても難しくて、簡単に答えを出せるものじゃない」私たちは未知なる迷宮に引き込まれる――。

■感想
男の自供により事件は解決したと思われたのだが…。まず序盤では加害者の息子がマスコミの餌食となり、会社からも自宅待機を言い渡される。事件が特殊なため、より報道としてのバリューが高いため、世間の目にさらされることになる。

加害者の自供だけですべてが解決するわけではない。息子が自分の父親の供述に違和感を覚え、独自に調査をする。そして、同じタイミングで被害者である善良な弁護士の娘も、父親が加害者を脅すようなことを言ったために殺されたと聞き信じられない状態となる。

過去の事件を紐解くことで事件の真相が明らかとなる。少しづつ違和感を整理していくと答えは見えてくる。加害者と被害者が知り合ったきっかけは作られたものだった。プリペイド携帯を使うなんていう安易な方法で証拠を隠したのだが、その裏には探られたくない真実があった。

真犯人はかなり意外な人物であることは間違いない。その真犯人をかばうために、自分が末期がんだと知り、命をかけての行動となる。ここで感じたのは、加害者の息子はかなり影響をうけているということだ。

加害者の息子と被害者の娘。それぞれが情報をもちより、お互いの親の過去のつながりが明らかとなる。そして、過去の事件には大きな秘密があった。事件の真相が判明すると強烈なインパクトとなる。それまで善人と思われた弁護士に黒い部分があった。

それを弁護士は理解し、真犯人に殺されたとしても、それを覚悟していたのは衝撃だ。誰もがひとりをかばうために行動している。実は被害者自身も真犯人をかばうために自分で捜査をかく乱するような行動にでていた。

後半の怒涛の展開はすばらしい。



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