ゴヤの名画と優しい泥棒


 2024.8.6    高齢者の楽しみがテレビだけの時代【ゴヤの名画と優しい泥棒】


                     
ゴヤの名画と優しい泥棒 [ ジム・ブロードベント ]
評価:3

■ヒトコト感想
実際の事件を描いた作品。テレビが放送された際に起きた事件だ。ゴヤの名画が盗まれた。その犯人は60歳のタクシー運転手であるケンプトンだった。なぜ60歳の老人が名画を盗んだのか。冒頭から高齢者の楽しみはテレビだと主張するケンプトン。BBCの受信料を払えないことで犯罪者となってしまう。たとえBBCが映らないテレビだとしても、受信料を払わなければならない。

理不尽なようだがテレビ放送のスタート時期ではそうしなければ成り立たないのだろう。イギリス中の高齢者に無料でテレビを見せるために受信料を肩代わりしようと考えたケンプトンがとった行動だった。ケンプトンのキャラがいちいち面白い。小粋なジョークとぶれない信念が良い。

■ストーリー
世界中から年間600万人以上が来訪し、2300点以上の貴重なコレクションを揃えるロンドン・ナショナル・ギャラリー。1961年、“世界屈指の美の殿堂"から、ゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この前代未聞の大事件の犯人は、60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。孤独な高齢者が、TVに社会との繋がりを求めていた時代。彼らの生活を少しでも楽にしようと、盗んだ絵画の身代金で公共放送(BBC)の受信料を肩代わりしようと企てたのだ。しかし、事件にはもう一つの隠された真相が……。当時、イギリス中の人々を感動の渦に巻き込んだケンプトン・バントンの“優しい嘘"とは――! ?

■感想
ロンドンギャラリーからゴヤの名画が何者かに盗まれた。盗んだのは60歳のケンプトンの息子だったのだが…。ケンプトンが小粋なギャグをちりばめながら自分の主張を声高に叫ぶのが良い。序盤でケンプトンがテレビを見ている場面で警察が押し込んでくる。

BBCの受信料を払っていないということで問い詰められるのだが…。ケンプトンはテレビを改造しBBCが映らないようにしていると主張するのだが、受信料を払わないということで逮捕されてしまう。高齢者の唯一の楽しみがテレビという世界での物語だ。

ゴヤの名画を盗み、それを利用して利子を得ようとする。それによりイギリス中の高齢者のテレビの受信料が肩代わりできる。壮大な話ではあるが、ある意味身勝手だ。ケンプトンがゴヤの名画を盗んだということで、名画を返しに来たタイミングで捕まってしまう。

裁判にかけられるケンプトンなのだが…。本作のメインはこの裁判だ。それまでのケンプトンの行動を見ていると一貫している。自分の主張を曲げることなく、変な差別や不正に対しては必要以上に厳しい態度をとる男だ。

裁判ではひたすら小粋な洒落を交えながらゴヤの名画を盗んだ理由を説明する。すべては高齢者が自由にテレビを楽しむため。裁判中は傍聴席から歓声が上がるほどケンプトンの味方が増えている。結局はケンプトンは名画の額縁を紛失したことの罪のみとなる。

名画を盗んだことや、国民が名画を見る機会を失ったことについてはすべて無罪となっている。その後の後日談としてケンプトンの息子が正直に名乗り出たのだが、政府はケンプトンを裁判所に呼んで、また騒ぎになるのを嫌がりないことにしたのが最高だ。

ケンプトンが実在したことに驚いた。



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