グッバイ、リチャード!


 2022.11.14     余命180日の破天荒な大学教授【グッバイ、リチャード!】

                     
グッバイ、リチャード!
評価:3

■ヒトコト感想
大学教授のリチャードが肺がんで余命わずかだと告げられる。この手の死が迫ったタイプの作品はわりとありがちだ。リチャードはショックから自暴自棄になり授業も自分が好きなようにやり、酒とドラッグ浸りとなる。死が迫ると人は何をするのか。家族と時間を過ごすかと思いきや、リチャードの家族には問題があった。妻が大学の学長と不倫をしており、娘はレズだとカミングアウトする。

リチャードが自暴自棄になるのも納得の展開かもしれない。何か癒しを求めるというよりは、自分が生きていたことの重大さをどのようにして人に伝えるのか。皆の前で自分が死ぬことを宣言する場面は強烈だ。唯一、早々に自分の状況を知らせた親友との関係はなんだか涙が出てくる。

■ストーリー
「余命180日です」。大学教授・リチャード (ジョニー・デップ) に告げられた突然のがん宣告。追い討ちを掛けるかのように妻に不倫を告白された彼の日々は予期せぬ展開を迎える。死を前に怖いものなしになった彼は残りの人生を自分のために謳歌しようと決心。あけすけにものを言い、授業中に酒やマリファナを楽しむ。ルールや立場に縛られない新しい生き方は彼にこれまでにない喜びを与え、人の目を気にも留めない彼の破天荒な言動は次第に周囲にも影響を与えてゆく。しかし、リチャードの“終わりの日"は着実に近づいていて…。

■感想
余命を宣告されるリチャード。それまで順風満帆な人生を過ごしてきた中年の白人男性。大学の教授として仕事にも満足していた。唯一の問題は家族関係だった。余命を宣告されてから、一時的に自暴自棄になるのはよくあるパターンかもしれない。

酒を飲みドラッグにおぼれる。ただ、その後は落ち着いて残りの人生をどのように過ごすかを考えるのだろう。本作のリチャードは文学部の教授なので、小説を描くのかと思いきや、なんだかわからないままフラフラとしている。家族と過ごすという選択肢がないのが痛いのだろう。

リチャードは大学の授業で自分のやりたいようにやる。ついてくる生徒だけを教えるというか、ただ生徒たちと会話をしているだけのように思えてくる。死が迫っているとわかっても大学には籍を置きたいのだろう。研究休暇を取得し、死の旅に出るのが最終目標なのだが…。

酒におぼれドラッグや行きずりのセックス。なんでもありなのは、理解できる。自分の余命を告げたのが親友だけというのが本作のポイントなのだろう。妻や娘にも黙っているが、親友にだけは告げ一緒に悲しむ。リチャード以上に親友の方が悲しくて泣いていたのが印象的だ。

大学のパーティの場でリチャードは告白する。学長にたっぷりと嫌味を言うのを忘れない。リチャードが死ぬことを初めて告白し、それを聞いた際の妻と娘の反応が意外だ。泣き叫ぶのかと思いきや、そうでもない。淡々とした表情で、まるで知っていたかのように受け入れている。

どこまで家族関係というのが成立していたのだろうか。家族よりも周りの方が悲しみにくれているように思えた。この手の余命わずかなタイプの作品は、変にお涙頂戴ものになるのだが、本作はそうはなっていなかった。

ジョニー・デップの演技が全てだ。



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