THE GUILTY ギルティ


 2022.10.1     音だけで何が起きているかを想像する作品【THE GUILTY ギルティ】

                     
THE GUILTY ギルティ [ ヤコブ・セーダーグレン ]
評価:3

■ヒトコト感想
緊急通報指令室のオペレータであるアスガーが、通話を通して出来事が変化していく物語だ。指令室でのアスガーの会話だけで観衆は何が起きているかを想像するしかない。ことの発端は、誘拐されたという女性の通報からスタートする。アスガーは必死に女性を助けるためにあらゆる手段を講じる。ここで、アスガー自身にも何かしら問題があるというのがよくわかってくる。

誘拐された女性の家や、別れた旦那などを調査し、女性を助け出そうとするのだが…。音から何かを判断するしかない。衝撃的な場面がいくつかアスガーに伝わるのだが、それは観衆も同じことだ。女性の息子が殺されていた。そして、犯人と思われる元旦那を追いつめるのだが…。超低予算映画だ。

■ストーリー
緊急通報指令室のオペレーターであるアスガー・ホルム(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに警察官としての一線を退き、交通事故による緊急搬送を遠隔手配するなど、些細な事件に応対する日々が続いていた。そんなある日、一本の通報を受ける。それは今まさに誘拐されているという女性自身からの通報だった。彼に与えられた事件解決の手段は"電話"だけ。車の発車音、女性の怯える声、犯人の息遣い・・・。微かに聞こえる音だけを手がかりに、“見えない"事件を解決することはできるのか―。

■感想
アスガーは明らかに不満げに仕事をしている。本来は現場で捜査する刑事だったのだろう。なんらかの不祥事をおこしオペレータ業務をやっていると伝わってくる。そんなアスガーが、ひとりの女性からの誘拐されたという通報から変わっていく。

必死に女性を助けようとするアスガー。あらゆるつてを使い、女性の家や元旦那の家へ捜査員を送ったりもする。それでも、誘拐され連れまわされている女性の車を探しだすことができない。通話から想像するしかないのだが、衝撃的な場面はいくつかある。

まず一つ目は、女性の家に捜査員が入ると、そこに幼い少女とベビーベッドに寝かされた幼子がいた。その幼子は腹を引き裂かれて殺されていた。通話越しに伝わる衝撃。アスガーは元旦那を追いつめるために必死になる。強烈なインパクトがあるのは間違いない。

アスガーのいら立ちは、しっかりと対応しないアスガーへの観衆のいら立ちへと変わっていく。他の緊急通報については適当にあしらうアスガー。同僚たちからの冷たい視線が、アスガーの同僚たちとの関係の悪さを物語っている。

ラスト間近では真実が明らかとなる。誘拐されていたと思い込んでいた女性は、実は精神病院に通う女性で、異常なのはこの女性だった。子供を殺したのも女性自身。逆に旦那は女性を病院へ連れて行く途中であった。アスガーの指示により女性は元旦那の頭にレンガを叩きつけたりもする。

すべてが明らかになった時に、アスガーは自分の罪を感じ困惑する。女性は高速道路に身投げしようとするのだが…。アスガーの通話から相手の状況を想像するしかないことを制約にした巧みなミステリーだ。

超低予算映画だ。



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