劇場版「きのう何食べた?」


 2023.6.24    ゲイカップルの将来の悩み【劇場版「きのう何食べた?」】

                     
劇場版「きのう何食べた?」 豪華版[ 西島秀俊 ]
評価:3

■ヒトコト感想
深夜に連続ドラマとしてやっていた作品の劇場版。ドラマの劇場版にありがちな、「映画にする必要ある?」というのは本作のためにあるのだろう。ゲイのカップルがゲイ故に周りとの関係に苦悩する部分がより強調して描かれている。ドラマ版を見ていたので、キャラの個性やわき役たちの立ち回りなどを楽しむことができた。

本来なら料理を作るシーンがメインのはずだが…。ゲイカップルの苦悩が面白おかしく、そしてシリアスに語られている。ケンジが同僚と帰っているだけで、それを見かけたシロウが浮気と疑うなんてのは、ゲイカップルのあるあるなのかもしれない。どこまでカミングアウトするか?というのも永遠のテーマなのかもしれない。

■ストーリー
街の小さな法律事務所で働く弁護士・筧史朗【シロさん】とその恋人で美容師・矢吹賢二【ケンジ】。ある日、賢二の誕生日プレゼントとして「京都旅行」に行くことになるが、この旅行をきっかけに、二人はお互いに心の内を明かすことができなくなってしまう。そんななか、史朗が残業を終え商店街を歩いていると、偶然見知らぬ若いイケメンの青年と歩く賢二を目撃する。さらに、小日向から航が居なくなったと相談を受け…。

■感想
弁護士のシロウと美容師のケンジのカップル。ドラマ版でも散々ゲイカップルの悲哀が描かれていた。映画版としてどうなっていくのか。全体のテーマとしては、結婚できるわけでもないゲイカップルがいつまでも一緒にいられる保証がないことに二人が気づき始める部分だろう。

最初、ケンジは、シロウが病気で死ぬか自分と別れる前に思い出として京都旅行に連れて行ってくれていると思い込む。その後には、ケンジが髪が薄くなったことを気にして頭髪の外来に行っているのをシロウに見られ、ケンジが病気かとシロウに勘違いされる。

ゲイのカップルというのをどこまでカミングアウトしているのか。シロウの母親はケンジが実家にくることをよく思っていない。そのことを知るケンジはショックを受けるのだが…。一般的には中々すんなりと受け入れられることではない。作中でも様々なゲイカップルが登場してくる。

シロウたちの周りにいる人々は親密な人であればある程度理解があるが…。両親ほど立場が近いとまた考え方も変わるのかもしれない。ゲイカップルの将来というのも、結局は普通に結婚したとしても実は悩みは同じかもしれない。

料理のシーンが多数登場してくる。ローストビーフやアクアパッツァ、ブリ大根にリンゴのキャラメル煮。確かにどれもおいしそうだ。ドラマ版から気になっていたことだが、弁護士と美容師のカップルではあるが、スーパーで安売りの品ばかりを買う場面がある。

そこまで切り詰めて生活する必要はないはずなのだが…。体型を気にしたり、髪が薄くなるのを気にしたり。将来のことを考えて貯金しているのだろうか。質素ではあるが工夫されたおいしそうな料理が続いてくる。

映画にする必要はあるのか?は常に感じる疑問だ。



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