不眠症 上 


 2022.9.2      不眠症により謎の存在が見えるようになる 【不眠症 上】

                     
不眠症 上 / スティーヴン・キング, 芝山幹郎
評価:3
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■ヒトコト感想
老人ラルフが経験する奇妙な出来事。不眠症に悩んでいるラルフが後半では人のオーラや、この世のものではない「チビでハゲの医者」を見る。妄想なのか、現実なのか。序盤では不眠症に苦しみながらもごく普通の近所づきあいをし、ちょっとしたトラブルに巻き込まれたりもする。妊娠中絶支持派の女性活動家と、それに巻き込まれるラルフ。

妻に暴力をふるうDV夫。ラルフが助けることになるのだが、相手の夫のエドに絡まれたりもする。ラルフが出合うトラブルは不眠症と関係があるのか。エドがしきりに妄想のようにつぶやく言葉は、エドも同じく妄想にとらわれたためなのだろうか。まだ上巻ではそのあたりははっきりしない。不眠症で特殊な能力を開花させたラルフという流れなのだろうか。。

■ストーリー
70歳の老人、ラルフの睡眠時間は日に日に短くなり、ついに幻覚を見るようになる。自分は狂いはじめているのか?孤独に「チビでハゲの医者」が放つ悪意に怯える日々を過ごすラルフ。一方、妊娠中絶支持派の女性活動家の講演が近づき、穏やかな町・デリーは憎悪と反目に染められていく―人知を超えた邪悪な存在が迫りくる。

■感想
老人になると長く眠ることができない。序盤では70歳の老人が不眠症に悩む描写が続く。3時間程度しか眠れない。そんな眠れない状態の皮肉を近所の仲間たちと会話する流れとなる。そこから、知り合いのひとりであるエドが事故を起こして相手のでかい男に食って掛かる場面に出会う。

この時点ではエドの異常な状態は、不眠症での異常なのか?と想像したのだが…。そんな描写はない。エドが奥さんに暴力をふるい、その状況に気づいたラルフがエドのことを警察へ通報することになる。

物語のポイントは、妊娠中絶支持派の女性活動家と出会ってからだ。活動家たちに反対する組織から、いつのまにかラルフも妊娠中絶支持派かと思われターゲットとされる。ついには隊長の立場にまでされ、実際に襲われたりもする。

ここで奇妙な不眠症の症状と、現実的な暴漢に襲われる場面というのは、どのようにリンクしていくのか。そこからラルフがチビでハゲの医者を見ることになる。この医者は現実の者ではないのは確かだ。この世のものではない存在に殺される者が発生し始める。

ラルフと同じような能力を発現させる者がでてくる。ラルフは相手のオーラが見えるようになる。これが不眠症による影響なのかは描かれていない。相手が今どんな状態なのか。今後どうなるのかを、オーラの色で判別できるラルフ。

ある種、預言者的な能力をもつことになる。それと共に、奇妙な医者を目にする。もしかしたらそれは死神のような存在なのかもしれない。そして、ラルフが不眠症を解消した暁には、それらの能力もなくなるのかもしれない。

下巻でどのような流れとなるのかが気になる作品だ。



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