フード・インク


 2023.1.31     貧困層は野菜より安いファーストフードを食べる【フード・インク】

                     
フード・インク スペシャル・プライス [ エリック・シュローサー ]
評価:3

■ヒトコト感想
アメリカの食糧事情、というか世界の食糧事情なのだろう。安価で手軽にカロリーが摂取できるファーストフードやスナックが蔓延する社会。野菜よりもハンバーガーの方が安いという驚きな社会。そのため、貧困層は安くてカロリーが手軽にとれるファーストフードばかりとなり糖尿病になる。

逆に富裕層は新鮮な野菜を食べて健康になる。この格差は昔ならば考えられない展開だろう。なぜ高カロリーなファーストフードが安くなるかの仕組みが語られている。結局のところすべての食材の元であるコーンが激安であり、巨大企業のいいなりになる農家の存在がある。不都合な真実ではないが、一般消費者には知らされない食品の闇があるのは間違いない。

■ストーリー
地平線まで続く巨大なとうもろこし畑や、飛行機を使って一瞬で散布する農薬。世界最大級の精肉工場のベルトコンベアーで処理されていく牛や豚。アメリカサイズのダイナミックな農業スタイルはより安く、効率良く食べ物を収穫するためのもののはずだった。しかしそれが生み出したのは、数社のみが莫大な利益を得る業界のおかしな構造と“遺伝子組み換え食品”の問題、さらに低所得者層に集中する糖尿病、相次ぐ食中毒だった…。

■感想
世界最大級の食肉メーカーをメインに語っている。そもそも巨大ファーストフードチェーンの要求に答えることが企業の発展につながるので、食肉メーカーはファーストフードチェーンのいいなりになる。肉だけでなくじゃがいももそうだ。

こんな感じで市場を牛耳っているメーカーは農家までも支配してしまう。となると、必然的に安価で大量生産を求められる。すべての食品の元となるのがコーンというのに驚いた。コーンを加工して食べるだけでなく、家畜のえさにもなっている。つまりコーンが強烈に安価だから成立する流れだ。

大量生産された食肉。その弊害として大腸菌が肉に付着するという問題が発生した。幼い子供がO157に感染し死亡する。そのことをきっかけとして問題のある食肉業者に操業停止を言い渡せる法律を作ろうとするが…。

巨大企業の陰謀というか、企業をチェックする側の組織に企業の幹部が参加しているという矛盾により、企業に都合の悪いことは排除されてしまう。それは、遺伝子組み換え食品やクローン牛などにも関連してくるのだろう。企業は儲けることだけを考え消費者を騙そうとしている。

行き着く先は貧困層が割を食うことになるのだろう。富裕層は高価だが安全な食品を手にする。大多数の貧困層は安価だが危険な食品を手に取るしかない。健康的な食事ができず病気が蔓延したとしても、アメリカは自己責任なので関係ないのだろう。

日本もいずれこの流れになるのだろう。ファーストフードが安くてうまいのは間違いない。健康的に野菜を食べるにはコストがかかるとなると、子どもや若者はうまいハンバーガーに群がるのは間違いない。

本作を見て、新鮮な野菜の重要性がよくわかった。



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