フォードvsフェラーリ [ マット・デイモン ]
評価:3
■ヒトコト感想
実在した人物を描いた作品。フォードからのオファーを受けてル・マンの24時間耐久レースを勝つために奮闘する男たちの物語だ。カーデザイナーのシェルビーとドライバーのケン。二人とも個性が強いが、強烈なインパクトがあるのは間違いなくケンだ。凄腕ドライバーであることは間違いないが、言いたいことをそのまま口にする粗暴な男だ。
フォードの副社長に対して車の欠点をあげつらう。ケンにとっては権威主義は通じない。その実力があるだけに重要視されているが、能力がなければとんでもなく不遇な扱いを受けるタイプだ。フォードの会長がフェラーリの会長に侮辱されたからと始まった争い。金に糸目をつけづにフォードをルマンで勝たせるという勢いがすさまじい。
■ストーリー
マット・デイモン、クリスチャン・ベールの共演で贈る奇跡の物語。カー・デザイナーとして活躍するキャロル・シェルビーのもとに、アメリカ最大の自動車メーカー、フォード・モーター社からオファーが届く。それは、ル・マン24時間耐久レースの絶対王者に君臨していたイタリアのフェラーリ社に勝てる車を造ってほしいという、不可能とも思える内容だった。さっそくシェルビーは凄腕のドライバーのケン・マイルズを口説き、レーシングカー、フォードGT40の改良とテストを重ねていくが…。
■感想
シェルビーとケン。それぞれ個性が強いが、シェルビーはどちらかというと体制側になびく傾向がある。フォードの権力者がケンをドライバーから外せと言われ、その通りにしてしまう。ケンは絶対に権力に負けることがない。
勝つためにはケンが必要だと分かっていながら、権力に負けるシェルビーがなんだか悲しく見えた。ケンの圧倒的な存在感がすさまじい。暴言を吐くが実力は間違いない。ケンがいることでレースに勝てるとシェルビーは確信できているのだろう。
フォードとフェラーリの因縁の対決だ。フォードは巨大になりすぎて大企業病に陥っている。フォードの創業者2世の周りにはスーツを着た幹部たちが並ぶ。いかにも大企業のお偉いさんという感じの面々だ。上からの命令は無条件に受け入れるタイプの男たちだ。
特に副社長が曲者だ。ケンとの初対面でケンにぼろくそ言われたため、常にケンを目の敵にしている。フォードの社長からすると、レースに勝ちたいが副社長に任せた手前口出しできない。シェルビーに全権を移譲することが重要だと気づくことになる。
ル・マンのレースシーンは強烈だ。序盤で車のドアが閉じないトラブルがあったりするが、ケンの驚異的な走りでフェラーリを追い詰めていく。ここでもフォードの内部的な権力が邪魔をすることになる。副社長が余計な口出しをしてシェルビーが切れるシーンは最高だ。
ケンを守るために必死になるシェルビー。過去に、ケンを切ったことでレースに勝てなかったのがトラウマなのだろう。ラストではケンの判断にすべてをまかせている。ケンのキャラクターが最高にかっこよい。
フォードの副社長は最高に憎たらしい。