2022.10.4 米ソの宇宙開発に巻き込まれた男【ファースト・マン】
ファースト・マン [ ライアン・ゴズリング ]
評価:3
■ヒトコト感想
月面着陸に初めて成功したニール・アームストロングを描いた作品。米ソが激しく宇宙開発をしていた時期なので、国策としてソ連よりも早く月へ到達する必要があった。死の危険と世間からのプレッシャー。ニールの同僚がテスト中の事故で亡くなったりと、危険を伴う仕事という印象が強くある。月への出発前に、ニールが子供たちへ告げる言葉は印象的だ。
すべてがうまくいったら成功する。恐らくは、確率的にはかなり低いのだろう。当時の世間の熱狂と、それまでに数々の失敗を繰り返したことによる批判なども濃密に描かれている。月面着陸といえば「アポロ13」を思い出すが、それに負けないほど宇宙での様々なアクシデントが濃密に描かれている。
■ストーリー
1961年、空軍でテストパイロットを務めるニール・アームストロングは、NASAのジェミニ計画の宇宙飛行士に応募する。飛行士に選ばれたニールはヒューストンの有人宇宙センターで過酷な訓練を受けながら、他の飛行士たちとの絆を深めていく。NASAが目指すのは、宇宙計画のライバルであるソ連もまだ到達していない月面着陸。ニールたちは使命感を胸に、様々な困難を乗り越えながら、この前人未到のミッションに挑んでいく。
■感想
テストパイロットのニールが宇宙飛行士に応募する。技術者出身ということで、何事にも論理的に答えを導き出そうとしている。仲間のテストパイロットたちとは家族ぐるみの付き合いとなる。本作では月に行く前に宇宙でのドッキング作業も描かれている。
そこでは様々なトラブルがあり、死の危険を感じながらの生還となる。一度、宇宙でのトラブルを経験しているニール。その場では家族ですらも死を覚悟したのかもしれない。ニールの奥さんがニールの上司に食って掛かる場面は強烈だ。
ソ連との激しい宇宙開発戦争は強烈だ。アメリカとしてもソ連に負け続けることは許されない。宇宙開発に必死になるのは、その後、宇宙からのミサイル攻撃を睨んでのことなのだろう。多大な税金を投入して宇宙開発を行うことへの批判が殺到する。
ニール自身はある意味広告塔のような役割をしているので、賞賛もあるが批判も浴びる立場にある。同僚がテスト中に火災で死亡する。宇宙開発というのは、何も宇宙にでなくとも危険は身近にあるということなのだろう。鉄の塊でのテストはまさに時代を感じさせる流れだ。
月への出発をする前に家族に対して覚悟を告げるニール。成功する確率はかなり低いのだろう。「アポロ13」のような明確なトラブルが描かれているわけではない。ただ、燃料が亡くなりかける中で月に到達し、最初の一歩を月につける場面は強烈だ。
そこから現代まで大きく宇宙開発が進歩したわけではない。ただ、当時の技術としては、かなり危険に満ちた月への旅だったのだろう。月面着陸を最初に行うことが重要であり、どれだけ犠牲を出したとしても後戻りできない状態だったのだろう。
その当時の人々の覚悟を感じずにはいられない。
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