ファミリーツリー 


 2023.11.3      従妹に淡い恋心を抱く少年 【ファミリーツリー】

                     
ファミリ-ツリ- /ポプラ社/小川糸
評価:3
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■ヒトコト感想
少年は父親のいとこである自分と1歳上の少女に恋をした。親の兄弟の歳が離れているので、従妹と年齢が近いのはまれにあることだろう。毎年、夏になるとやってくる魅惑の少女リリー。少年と姉とリリーの3人で夏を過ごす。そして、いろいろとありながらリリーと付き合うことになる少年。家族関係や、叔父との関係。そして、すべての大本である祖母が死んだ日。

ファミリーツリーというタイトルは家系図をイメージしているのだろう。少年が東京に憧れリリーの元に向かうために受験勉強に力を入れる。そこから、リリーとの関係がぎくしゃくしたりもする。住んでいた家が火事になり大事な飼い犬である海が死んだことが少年にとって大きな出来事だったのだろう。

■ストーリー
少年は、父のいとこにあたる少女に恋をした。彼は両親への歯がゆい思いや情けない自分へのいらだちを抱えながら、曾祖母たち近しい大人に見守られ、大切な存在への想いを糧に成長してゆく。著者ならではの五感に響く筆致で、命のつながりの煌めきを描き出す物語。

■感想
リリーはハーフであり魅力的な女性なのだろう。少年はリリーとは幼馴染の関係であり、幼いころから淡い恋心を抱いていた。幼少期の1歳上というのはかなり年上に感じてしまう。幼いころにはリリーにイジメられたりした少年。ただ、そこには楽しさが強いのだろう。

夏だけ限定で長野の田舎にやってくるリリー。東京で生活しているリリーは少年からすると輝いて見えたのだろう。姉とリリーが同い年ということもあり、3人は夏の間常に一緒に行動する。典型的な幼馴染の関係だ。

少年が住む民宿が火事になる。そこには少年が拾ってきて皆で大事に育てていた犬の海がいた。火事で海が死に、民宿が焼け落ちたため、少年は松本に引っ越すことになるのだが…。少年だけがそこにとどまる。田舎の民宿は夏休みだけ遊びに行くにはベストな環境なのだろう。

民宿が火事になり、リリーとの関係は別の意味で親密となる。幼馴染のふたりの関係が変化していくきっかけとしてはありがちなのかもしれない。少年のリリーへのあこがれが爆発したような感じだ。

少年とリリーの関係は少年の成長と共に変化していく。作中の少年の態度はいかにも子供のように感じた。リリーは大人で、常に少年のことを気にかけている。少年だけがスネて機嫌を悪くして悪態をついているように思えた。反抗期に無駄に反発する少年と、それをなだめる母親のようにリリーが思えてきた。

この関係の変化は少年が大人になることで変わっていく。リリーや少年が慕っていた祖母が死んだことで、家族の在り方を見直すことになる。

複雑な家系がふたりを混乱させている。



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