2022.6.3 ウーバーイーツからネットの炎上まで、マコトが解決 【炎上フェニックス 池袋ウェストゲートパーク17】
炎上フェニックス 池袋ウエストゲートパーク17 [ 石田衣良 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
IWGPシリーズ第17弾。今回はパパ活や炎上騒動が描かれている。流行りのウーバーイーツもある。世の中の流行りを物語化する早さと、そこに潜む問題点が描かれている。本作を読むことで、世間の流行りに疎い人でもウーバーイーツがどんなもので、なぜフリーターがこぞってやるかがわかるだろう。パパ活についても自分はよく知らなかったが、女子のランクでパパ活の客も変わってくるようだ。
マコトが中心となりキングたちGボーイズにより事件を解決する。危険な仕事というよりは、日常に隠れる悪意というのが伝わってきた。駅で女子供にわざとぶつかる、「ぶつかり男」にしても、社会への不満のはけ口として利用しているだけのように思えてしまう。すべては報われない人の不満のハゲ口になっているのだろうか。
■ストーリー
ストーカーと化したADが自殺。「悪女」「尻軽」と大炎上し焼かれた女子アナ。マコトが接触したネット放火魔のなかに真の“モンスター”が存在した!ネット社会の闇にGボーイズが打った手とは――-半グレ集団に脅かされる“パパ活女子”、女性ばかりを狙う“ぶつかり男”、トラブルに巻き込まれた“デリバリー配達員”……現代を鮮やかに切り取る4編収録。
■感想
「グローバルリングのぶつかり男」は、猛威をふるうぶつかり男をマコトたちが捕まえる物語だ。わりと単純だが、犯人が警備員の日雇い仕事をしつつ、日常に不満を感じた結果、弱い立場の女性を狙い相手にわざとぶつかる。
その不満の奥底を分析するようなことはなく、ぶつかり男を探しだすことの難しさがこれでもかと描かれている。防犯カメラで映像が捕らえられても、駅で再び同じ人物を見つけだすことができない。世間での分断の影響が少しづつ犯罪へと変化しているのだろう。
「巣鴨トリプルワーカー」は、フリーターがひとつの仕事だけでは生活できないため、ウーバーイーツ的な宅配代行を行う物語だ。事件自体は大したことはない。ウーバーのシステム的に、割の良いおいしい仕事を仲間内で奪い合うというのがあるのだろう。
さらには、素性のわからない宅配人に住所を知られ、場合によっては生活スタイルまで知られるのはリスクでしかない。誰でもできるというのが、実はかなり使う側からすると危険と隣り合わせということだ。
表題作でもある「炎上フェニックス」は強烈だ。ネットでの誹謗中傷を受けた女子アナが、相手に対して法的手段に訴えるため面会する物語だ。今まではネット上は無法地帯で、どんな罵詈雑言を書き込んだとしても、訴えられることはなかった。
ここ最近は、法的手段に訴えることが可能となるのだが…。ごく普通の少し不幸な人が、キラキラと輝いている人を、少しの鬱憤ばらしのために攻撃する。想像力の欠如というか、その後のことを何も考えないのだろう。恐ろしい時代になった。そんなことをする暇があるなら、別のことに時間をかければよいのにと思ってしまう。
このシリーズを読めば世間で何が起こっているのかわかる。
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