ドリームプラン [アーンジャニュー・エリス]
評価:3.5
■ヒトコト感想
テニスのウィリアムズ姉妹とその父親であるリチャードを描いた作品。リチャードは姉妹が有名になる前に、子供を最高のテニスプレイヤーに育てるということでメディアで有名になっていたようだ。俗にいうところの将来有望な天才スポーツ少女を育てた父親という感じだ。驚いたのはリチャードは早くから娘たちをプロにしたいと考えたのではなく、ものすごく慎重に育てていたという部分だ。
ジュニアの試合にださずにトレーニングや練習に力を入れる。学校の勉強もおろそかにすることなく、姉妹は四か国語を話せるまでになる。外から見ると、将来有望な子供の活躍の場を狭めている、横暴な父親のイメージとなるのだろう。決してテニスだけでは終わらせないというのが父親の考え方だ。
■ストーリー
ビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の実父、リチャードは彼女たちが生まれる前にTVで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿を見て「子どもを最高のテニスプレーヤーにしよう!」と決意。父の指導のもと、ウィリアムズ姉妹がいかにしてその才能を開花させ、世界の頂点へ上りつめたのか。揺るがぬ信念と子供たちの可能性に人生のすべてを捧げ、不可能を可能にするリチャードの姿を描く。
■感想
実話をもとにした作品。テニスのウィリアムズ姉妹が大活躍する前、幼少期でプロになる前からリチャードと近くのテニスコートで練習する場面からスタートする。黒人が住む地域で、決して治安が良いとは言えない場所。そこで幼少期のウィリアムズ姉妹は両親の教えの元にテニスの練習をしていた。
父親がコーチというのは天才スポーツ少年などにありがちなパターンだ。ただ、より進歩するためには外部のコーチが必要ということでリチャードはマッケンローなどを指導するコーチに姉妹のテニスを見せる。姉妹の実力がすさまじいのは明らかだ。
その年代にしては圧倒的な強さを示す姉のビーナス。最初は姉が期待されコーチを受けるのだが、その映像を録画し同じトレーニングを妹にも実施できているのが最高だ。リチャードの偏屈ぶりが強烈に描かれている。
特にオープンスタンスにこだわり、コーチの教えに反発したりもする。なんだかんだありながら、より良いコーチを求め、家族と共に移住したりもする。その際にも、姉妹のテニスを見せるとコーチたちはすぐさま契約したいと持ち掛けてくる。それほど、姉妹の実力がずぬけていたということなのだろう。
ジュニアの試合には出さないと決断するリチャード。それは幼くしてプロ契約するとその後、選手としてはうまくいかない前例を見ているからのようだ。確かに10代の少女が激しいプレッシャーにさらされ、かと思うと周りから過剰にちやほやされる。
テニスだけでなく勉強も頑張らないとテニスをさせない、という決断もすばらしい。テニスだけにせず、引退後の将来のためにも様々な経験をさせようというのがリチャードの考え方だ。最終的にウィリアムズ姉妹は成功しているので、リチャードのやり方は間違いではなかったのだろう。
結末はわかっているが、引き込まれる作品だ。