デリシュ!


 2024.2.15    これがレストランの起源だ【デリシュ!】


                     
デリシュ! [ エリック・ベナール ]
評価:3

■ヒトコト感想
フランス革命の直前。世界で初めてのレストランが完成した。公爵のお抱え料理人であったマンスロンが、公爵に対してジャガイモを出したことから激怒され解任される。マンスロンは田舎に帰り、そこで料理人として画期的なシステムを編み出す。大昔は土の中に埋まっていたジャガイモなんて食べる対象ではなかったということだ。

フレンチフライの登場の起源とでもいえば良いのだろうか。横暴な貴族が最後にやり込められる場面は最高だ。そもそも、それまでの料理のシステムとして、庶民は食を楽しむべきではない。おいしい料理は貴族のためにある、という考え方もかなり極端なものだ。今のレストランとそん色なく料理を作ることに対する情熱は変わらないのだろう。

■ストーリー
世界初のレストラン開業の秘密、教えます1789年、革命直前のフランス。誇り高い宮廷料理人のマンスロンは、自慢の創作料理「デリシュ」にジャガイモを使ったことが貴族たちの反感を買い、主人である傲慢な公爵に解任され、息子と共に実家に戻ることに。もう料理はしないと決めたが、ある日彼の側で料理を学びたいという女性ルイーズが訪ねてくる。はじめは不審がっていたマンスロンだったが、彼女の真っ直ぐな想いに触れるうちに料理への情熱を取り戻し、ついにふたりは世界で初めて一般人のために開かれたレストランを営むことになる。店はたちまち評判となり、公爵にその存在を知られてしまう

■感想
宮廷のお抱え料理人であり才能のあるマンスロン。料理としてジャガイモを出したところ公爵に激怒されそのまま解任されてしまう。息子と共に田舎に戻ったマンスロンだが…。このマンスロンが太った見た目だが、新鮮な食材や新たな食材にチャレンジし本当においしいものを作るという料理人の見本のような男だ。

マンスロンのことを尊敬し料理の修行をしたいとやってきた女性ルイーズと息子と共に、田舎で一般人もおいしい料理を食べられるレストランを開くことになる。

驚きなのは中世ヨーロッパの時代では料理は貴族のためのものであり、一般人は料理を楽しむべきではないという風潮があったことだ。マンスロンのような才能のある料理人の料理は貴族だけが楽しむもの。それを変えたのはルイーズのアイデアだった。

最初は通りすがりの兵士たちにおいしい料理を提供する目的であったが、誰でも気軽に立ち寄れ、一皿ずつ料理を提供する方式を決めたのもマンスロンだった。それまでの片っ苦しい料理の世界から一気にカジュアルな世界へと変化していく感じなのだろう。

傲慢な公爵は実はマンスロンを解任したことを後悔していた。マンスロンほどの料理の腕をもつ料理人はそういなかった。マンスロンが開業したレストランへ公爵を招待する。ここで傲慢な公爵が最後にやり込められる場面は最高だ。

この貴族に対する民衆の怒りというのが、のちのフランス革命へと繋がったということなのだろう。この時点でも、貴族アレルギーは民衆の間に広まっていたということだ。マンスロンが開業した田舎のレストランでは、緑に囲まれた庭で食べる場面が最高に楽しそうに見える。

レストランの起源ということなのだろう。



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