ブルー・バイユー


 2023.5.17    多人種国家の悲哀【ブルー・バイユー】

                     
ブルー・バイユー [ アリシア・ヴィキャンデル ]
評価:3

■ヒトコト感想
アメリカで幼いころに養子になったが、30年前の書類の不備で不法入国とされ強制送還される。実はアメリカ内部では同じような事例が多数あるのだろう。幼いころからアメリカで暮らすアントニオが、シングルマザーと結婚し夫婦となる。妻の連れ子とお腹の中にはアントニオとの子供もいる。そんな状態で些細なトラブルから警察ざたとなり、アントニオが不法入国者とされ強制送還されることになる。

アントニオの見た目的には、入れ墨を入れているのでまっとうな人間には見えない。過去に犯罪歴があるということで強制送還を無効にする裁判をしても見込みは薄い。アントニオの苦悩と、同じような人がアメリカには多数いることに驚かされた。

■ストーリー
韓国で生まれ、わずか3歳で遠くアメリカに養子に出された青年アントニオ。30年以上前の書類の不備で、強制送還される危機に瀕した時、彼はどうするのか?

■感想
アントニオは白人のバツイチ女性と結婚する。相手の連れ子の女の子もアントニオになじんでおり、自分の金髪をアントニオと同じ黒に染めたりもする。仲の良い家族。子供は過去に父親に捨てられたという思いがあるのだろうが、離婚した父親には近づこうとしない。

この父親が警官でありアントニオたちと同じ地区に住んでいるのがポイントだろう。ある日、スーパーでアントニオ家族と元父親の相棒がトラブルとなりアントニオは逮捕されてしまう。このことをきっかけとしてアントニオは強制送還されることになるのだが…。

30年前に養子としてアメリカ人夫婦に引き取られたアントニオ。そのころの手続きの不備でアントニオは不正滞在していることになっていた。また、過去に犯罪を犯していたことも強制送還の要因となっていた。アメリカにとどまるためには弁護士を雇い裁判をする必要があるのだが…。

その費用がない。アントニオはいかにもあぶなっかしい。何か危ないことをやる雰囲気がぷんぷんしている。客観視するとアントニオは強制送還されてもしょうがないように思えてしまう。

アジア系として仲間となったベトナムの女性は末期がんで余命わずかとなっている。アントニオ家族と知り合いとなり家族ぐるみの付き合いをする。このベトナム系女性がどのようにアントニオに影響を与えるのか。裁判で養母の証言があればアメリカ滞在をゆるされるかも?という状況となるのだが…。

アントニオは裁判の場に現れない。ありがちだが、幼少期よりアメリカで30年過ごした者が、韓国に強制送還される。韓国語も話せず知り合いもいない。なんだか強烈に理不尽な展開だ。

これが多人種入り交じるアメリカの現実なのだろう。



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