2022.10.3 冷酷非道なボストンのマフィア【ブラック・スキャンダル】
ブラック・スキャンダル [ ジョニー・デップ ]
評価:3.5
■ヒトコト感想
実在したマフィアのバルジャーを描いた作品。幼馴染であるFBIのコノリーと協力することで逮捕されずにやりたい放題でボストンを牛耳った男。最終的にはFBIとの協力体制が明るみにでて、数々の殺人容疑と仲間からのタレコミにより逮捕されてしまう。印象的なのはバルジャーの身内に対しての優しさと、一歩間違えると残酷になる瞬間だ。
自分たちの情報が外部に漏れることを恐れ、その兆候が少しでもあるとその相手を殺害してしまう。側近たちもまた、バルジャーに忠実で仕事を無言でこなす。実の弟のビリーが地元の有力な政治家であり、FBIからも敵対マフィアの情報を提供することで悪事に目を瞑ってもらっていた。悪の象徴たるバルジャーの圧倒的な悪を描いた作品だ。
■ストーリー
1975年、サウスボストンでアメリカの正義の根幹を揺るがす史上最悪の汚職事件が起きた。マフィア浄化に取り組むFBI捜査官のコノリー(ジョエル・エ ドガートン)は、イタリア系マフィアと抗争を繰り広げるギャングのボス、バルジャ―(ジョニー・デップ)に敵の情報を売るよう話を持ちかける。FBIと密約を交わし、情報屋の立場を悪用して敵対する組織を壊滅に追いやるバルジャ―。出世欲の強いコノリーと名声を望む政治家のビリー(ベネディクト・カンバー バッチ)もまた、彼と手を組み権力の座を駆け上がっていく…
そう彼らは同じ街で育った幼馴染だったのだ。悪の象徴であるバルジャ―により徐々に取り込まれていくFBI、思惑とは別に欲望の歯車が狂い始める…。やがて地元紙のスクープで彼らの悪事が明るみになった時、彼らに訪れる衝撃の結末とは?!
■感想
バルジャーは家族を大事にするが、一方で冷酷非道な部分がある。変わったのは息子が病気で死んだタイミングだろう。幼馴染でありFBI捜査官のコノリーから協力を申し込まれ、敵対関係のマフィアの情報をFBIへ売る。
それはバルジャー自身が一番忌避していたタレコミのようではあるが、本人としては情報提供ということでごまかしている。ごく側近にだけそのことを伝え、人知れずFBIから目をつけられずにボストンで勢力を強めていく。バルジャーと弟のビリーとコノリーの3人が食事をする場面は言いようのない緊張感がある。
バルジャーは常に主導権を握っている。コノリーはFBI捜査官でありながら、FBIよりもバルジャーが利益になるような動きをしている。上層部からバルジャーの情報提供が少ないとクレームがでても、それをごまかすのはコノリーだ。
そして、いつの間にか、コノリーの仲間のひとりは、バルジャーに脅されたりもする。バルジャーが恐ろしいのは、ついさっきまでニコニコしていたのが、次の瞬間にはあっさりと殺人のために行動するところだ。自分たちの情報が外部に漏れる前に神経質なほどガードが堅い。
バルジャーに終わりがくるのは、バルジャーの性格に嫌気をさしたコノリーの仲間のマスコミへの密告からだ。このことで、FBI内部で問題になり、コノリーは逮捕されてしまう。そして、バルジャーの周辺ではFBIとの協力関係が嘘か本当かはどうでもよく、そんな噂がでた瞬間に、皆がバルジャーを警察に売り始める。
側近たちも減刑を理由にバルジャーの悪事を証言する。本作が真実に基づいているので、逃げたバルジャーが最後には、2011年に観念して逮捕されるのが印象的だ。
バルジャーの冷酷非道部分が恐ろしい。
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