ビリーブ 未来への大逆転


 2023.1.17     どんなことにも最初はある【ビリーブ 未来への大逆転】

                     
ビリーブ 未来への大逆転 [ フェリシティ・ジョーンズ ]
評価:3

■ヒトコト感想
女性の権利が虐げられた時代の物語。実在した人物をモデルとしているらしい。まず当時としては女性弁護士というのも珍しく学校でも虐げられたようだ。男女の差別が当たり前の時代に、勝気な女性弁護士のルースが男女平等を訴え戦う。本作のポイントはその裁判が男の権利を主張するということだ。女性しか介護費用の控除を受けられない。よく考えたおかしなことだが…。

国側は男女平等の話にもっていこうとする。ルースが何事にも最初があると語り、ここから差別緩和がスタートするというのはかなり心に響いてくる。ただ、国側のこのままでは子供が家に帰ってくると家に誰もいない状態となる。(女性が働きに出るため)と嘆いていたが、今はまさにその状態となっている。

■ストーリー
貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ギンズバーグは、「すべてに疑問を持て」という亡き母の言葉を胸に努力を重ね、名門ハーバード法科大学院に入学する。1956年当時、500人の生徒のうち女性は9人で、女子トイレすらなかった。家事も育児も分担する夫のマーティの協力のもと首席で卒業するが、女だからというだけで雇ってくれる法律事務所はなかった。それでも弁護士の夢を捨てられないルースに、マーティがある訴訟の記録を見せる。専業主夫になって母親の介護をすることが認められない男性を擁護するその裁判が、“男女平等"を訴える一歩となることを信じ、自ら弁護を買って出るのだが―。

■感想
女性の弁護士がまだめずらしい時代。ルースは男女平等を求めようと必死になる。ルースの家族、特に夫はかなり現代的だ。ルースが働くことに理解を示し、自らが料理をして子供たちを育てる。ルースは弁護士としての仕事に魅力を感じているのだが…。

本作に登場する男たち。特に高齢の男たちはガチガチの男尊女卑のタイプだ。女は家で家事と育児をしていれば良い。女はバカで男が外で働き稼いでくるしかない。それを隣で聞く男の妻もなんだか微妙な表情をしているような気がしたのだが…。

夫婦で弁護士のルース夫妻。男女平等をしきりに訴えるルースは、やりすぎで時代にそぐわない先走り感がある。周りの男たちから冷ややかな目で見られるのも当然だろう。そんな状態でもルースの夫だけはルースを温かく見守っている。

この時代、こんな夫がいるなんてのは想像できない。嫌な中年弁護士の、男が全てを支配する的な考え方が当たり前なのだろう。女に権利を与え男女平等にすると女が働きだして、アメリカの家庭は崩壊するとしきりに訴えているのが印象的だ。

ラストの裁判の場面で、男の権利が虐げられていることを訴える。それは口実でしかなく、すべての面で男女平等を訴えようとしている。介護費用の控除を男が受けられないというのは誰が考えてもおかしい。国はそこだけでなくすべての男女平等を焦点として争おうとしている。

それでもルースは負けずに、なんにでも最初はあると訴える。感動的ですらある流れだ。実在の人物であるルースがその後にも男女平等を訴え続けるのは容易に想像できるだろう。

時代を変える力をもった女性だ。



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