バトル・オブ・ザ・セクシーズ


 2022.7.21     女子のトップと男子のシニア選手がテニスで対決【バトル・オブ・ザ・セクシーズ】

                     
バトル・オブ・ザ・セクシーズ [ エマ・ストーン ]
評価:3

■ヒトコト感想
実際に全米女子テニスチャンピオンと元世界チャンピオンでシニアプロの男子が対決していたことに驚いた。物語の流れとしては、女子への待遇が悪いことへの反発としてスタートしている。女子トーナメントは男子に比べて賞金が低いなどが当たり前の時代だったのだろう。女子の現役チャンピオンがシニアの男子に負けるというのは、今であれば考えられないだろう。当時としてはパワーテニスというよりはテクニックが必要なので、シニアの男子が勝てたのだろうか。

今の大阪なおみが元世界チャンピオンとはいえ55歳の男子に負けるだろうか。ビリー・ジーン・キングは女子を代表し、その試合に負けると女子全体が負けたと思われる可能性がある。とんでもないプレッシャーの中での試合だったのだろう。

■ストーリー
全米女子テニスチャンピオンのビリー・ジーン・キングは怒りに燃えていた。全米テニス協会が発表した次期大会の女子の優勝賞金が、男子の1/8だったのだ。仲間の選手たちと“女子テニス協会"を立ち上げるビリー・ジーン。資金もなく不安だらけの船出だったが、著名なジャーナリストで友人のグラディス・ヘルドマンがすぐにスポンサーを見つけ出し、女子だけの選手権の開催が決まる。時は1973年、男女平等を訴える運動があちこちで起こっていた。

女子テニス協会もその機運に乗り、自分たちでチケットを売り、宣伝活動に励む。トーナメントの初日を快勝で飾ったビリー・ジーンのもとへ、記者会見の前に髪を切ってくれた美容師のマリリンが訪ねてくる。夫のラリーを愛するビリー・ジーンは彼女に惹かれる自分に戸惑うが、ときめきに抗うことはできなかった。その夜、かつての世界王者のボビー・リッグスから電話が入り、「対決だ! 男性至上主義のブタ対フェミニスト! 」と一方的にまくしたてられる。

55歳になって表舞台から遠ざかったボビーは、妻に隠れて賭け事に溺れていたのがバレて、夫婦仲が危機を迎えていた。再び脚光を浴びて、妻の愛も取り戻したいと考えたボビーの“名案"が、男対女の戦いだった。ビリー・ジーンに断られたボビーは、彼女の一番のライバルであるマーガレット・コートに戦いを申し込む。マーガレットは挑戦を受けるが結果は完敗、ボビーは男が女より優秀だと証明したと息巻くのだった。

逃げられない運命だと知ったビリー・ジーンは、挑戦を受ける。その瞬間から、世界中の男女を巻き込む、途方もない戦いが始まった──!

■感想
冒頭、女子テニストーナメントの改善待遇のため女子テニス選手たちが女子テニス協会を設立する。まだ女子の待遇自体が微妙な時期であり、根本には男尊女卑が当たり前の時代だったのだろう。女子だからと賞金が低くなったりもする。

本作の流れとしては、単純な女子チャンピオンと男子シニアの試合というだけでなく、ウーマンリブというか女子たちの革命の認識が強いのだろう。終始、ビリーは必死に練習し試合に懸ける思いは強いと描かれている。対してシニア男子のボビーはサプリを飲みながらお遊びで試合に挑む雰囲気となっている。

ビリーとの試合の前に別の女子トッププロとボビーが対決する場面がある。ここでボビーは女子を圧倒している。試合風景を見るとパワーで圧倒というよりはテクニックで勝つという感じだ。スタミナであれば明らかにボビーがないはずだが、女子は負けている。

このことで、ボビーは冗長し、女子全体が負けたというイメージが強く植え付けられることになる。ビリーは女子の代表というだけでなく、作中ではレズとしての描写もある。当時としてはタブー視されたことへの反抗という意味もあるのか。

本作は実際に行われた試合が描かれている。全米中が注目する試合。ビリーのピリピリとした雰囲気とは対照的に、ボビーはスポンサーのジャンパーを着て試合をしたりもする。とりあえずは男子代表とはなっているが、簡単に勝てるでしょ、という甘えを感じずにはいられない場面だ。

ビリーを応援するのは女性。ボビーを応援するのは高齢男子。この図式であればビリーが勝利し、その後のLGBTQを広げるきっかえとなったとこじつけることができるのだろう。

こんな試合が行われていたことに驚いた。



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