2023.6.18 国を巻き込んでの不正【バグダッド・スキャンダル】
バグダッド・スキャンダル
評価:3
■ヒトコト感想
実際に起きた国連のスキャンダルを描いた作品。青年マイケルは国連事務次長の特別補佐官となる。そこで国連がイラクで行っている不正を明らかにする。国連は正義というイメージはあるが、まだフセイン政権が力をもっていた時期にフセインと国連が結託し世界の官僚や企業の幹部が蓄財していたというのは衝撃的だ。
それを知ったマイケルが、危険を顧みずに事実を公表しようとする。マイケルの上司である国連事務次長が全ての権力と利益を得ていた。また、イラクでの闇の取引をすべて仕切る男の存在も明らかとなる。誰がスパイでどこまでが真実なのか。これらがすべて事実にもとづいて作られているということに驚いた。強烈にインパクトのある作品だ。
■ストーリー
2002年。24歳のアメリカ人青年マイケルは、念願だった国連事務次長の特別補佐官に任命され、国連が主導する“オイル・フォー・フード"プロジェクトを担当することになった。これはイラクがクウェートに侵攻したことによる経済制裁の影響で、貧困にあえぐイラクの民間人を救う人道支援計画。国連の管理の元でイラクの石油を販売し、食料に変えてイラクの国民に配る。一見理想的な政策に見えるこのプロジェクトに実はフセイン自身が関与し、国連を中心とした世界各国の企業や官僚機構がかかわっていることを知る。やがて世界に例を見ない巨額の詐欺事件に発展していくのであった。
■感想
アメリカがイラクに武力侵攻する前の物語。イラクが経済制裁を受けたため、国連主導でイラクの石油を販売しそれを食料に変えて配るというプロジェクトが進行していた。一見、イラクの国民のための良いプロジェクトのように感じるが、実は汚職の温床となっていた。
マイケルは正義の国連職員として、プロジェクトの状況を分析する。そこでイラク国内で怪しくうごめく組織に出くわす。脅しのようなことを受けたりもする。マイケルの通訳が実はスパイなのでは?と感じたりもする。
イラクの石油を食料に変える過程で、世界の企業や官僚が関わり中抜きをしていた。その金額がすさまじく巨額だ。すべてを牛耳っていたのはマイケルの上司だった。それまでイラクのためにとマイケルの上司は不正な手段を用いながらプロジェクトの邪魔をする勢力を排除していた。
マイケルの上司はかなり力をもっていると思われる。プロジェクトに反対する人物を排除するためには手段を選ばない。実はマイケルの前任者はプロジェクトの秘密を探ろうとしたことで事故死に見せかけられ殺されていた。
マイケルは事務次長の代理としてプロジェクトの結果を報告したりもする。周りからは事務次長の右腕とみられているのだが…。マイケルはひそかに不正をしているリストを手に入れ、そこから汚職を暴こうとする。マイケルの決断力が強烈だ。
下手をすれば自分の命が狙われる可能性がある中で、真実をマスコミに暴露する。その後、アメリカがイラクに侵攻したとしても、その仕組みが変わることはないので最後には大スキャンダルとなる。
全てが事実だということに驚かずにはいられない。
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