ベイビー・ブローカー


 2023.10.9    奇妙なロードムービー【ベイビー・ブローカー】

                     
ベイビー・ブローカー スタンダード・エディション [ 是枝裕和 ]
評価:3

■ヒトコト感想
サンヒョンとドンスは、ヨンスが捨てた子供を他者に売り飛ばすベイビーブローカーをしている。赤ちゃんポストに預けた子供なので、そもそもヨンスには育てるつもりはなかったのだが、ひょんなことからヨンスはドンスたちとブローカーの旅にでることになる。自分の子どもがどんな両親のもとに売られるのかが気になるのだろう。ロードムービー的な展開となる。

ドンスたちは純粋に金目的な部分もあるのだが…。ヨンスには実は大きな秘密があった。ドンスたちに目を付けた刑事のスジンたちは、現行犯逮捕するために囮捜査までしている。子どもを捨てることは正解なのか、それとも…。ヨンスが子どもの父親を殺したという衝撃的な事実が判明する。

■ストーリー
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス。ある土砂降りの雨の晩、2人は若い女ソヨンが〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンは赤ん坊が居ないことに気づき、成り行きから2人と共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジンと後輩のイ刑事は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。

■感想
赤ちゃんポストに置かれた子供をこっそり奪い、ブローカーとして他者に売り渡そうとする。ドンスたちの言い分としては、赤ちゃんポストに置かれるとそのまま施設に入れられ辛い生活を送ることになる。そうならないために、ドンスたちを経由し本当に子供がほしい両親の元へ行く方が幸せということなのだろう。

ひょんなことから赤ちゃんの母親であるヨンスと共に、赤ちゃんを買い取ってくれる両親を探す旅にでる。ドンスたちの後をつけている女刑事のスジンたちが、子供を受け渡す瞬間を逮捕しようと身構えている。

ヨンスが子どもを捨てたのには理由がある。それは旅の中で小出しで語られることになる。ドンスは実は母親に捨てられ施設で育っていた。おじさん、若い男、若い女、赤ちゃん、少年というよくわからない構成で旅を続ける。

赤ちゃんが熱をだしたり、それぞれの複雑な家庭環境を語ったり。ヨンスが刑事と繋がっており、ドンスたちを現行犯逮捕するために協力するなど、事態は変化していく。実はヨンスは赤ちゃんの父親を殺害していた。赤ちゃんの父親は援助交際でヨンスを買った男であり、その妻がヨンスの赤ちゃんを取り戻そうとしている。

複雑な状況ではあるが、最後にはまるくおさまる展開となる。ヨンスは殺人事件の容疑者として追われることに疲れ自首することになる。ドンスたちは赤ちゃんのブローカーとして逮捕されることになる。現実としてブローカー経由で買われた方が幸せになるのかもしれない。

施設での生活がどの程度過酷なのかわらない。母親に捨てられ、母親が迎えにくることを待つため、施設から出ることはできない。いっそのこと母親のことを忘れて養子に入る方が幸せなのだろう。

奇妙なロードムービーとなっている。



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