ある閉ざされた雪の山荘で


 2024.6.6     殺人は本当に起きているのか?【ある閉ざされた雪の山荘で】


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評価:3

■ヒトコト感想
東野圭吾原作は20年以上前に読んだことがある。もはや内容は忘れていたので、新鮮な気持ちで見ることができた。読後感がさわやかな印象があったのだが…。山荘の中で繰り広げられる7人の男女の物語。この手のミステリーとして定番の次々と人が死んでいき、この中に犯人がいる、と思わせる展開だ。ミステリーとして王道の展開であるので、誰もが想像する流れを逆手にとるように、大きな仕掛けがある。

ポイントは演出家がメンバーを選ぶために用意したシチュエーションということだ。すべてが演出されたことなのか、それともその演出を逆手にとって殺人が行われたのか。最後までどちらかわからない展開が良い。大雪で閉ざされた山荘という定番のシチュエーションが良い。

■ストーリー
劇団に所属する役者7人に届いた、4日間の合宿で行われる最終オーディションへの招待状。新作舞台の主演を争う最終選考で彼らが“演じる”シナリオは、【大雪で閉ざされた山荘】という架空のシチュエーションで起こる連続殺人事件。出口のない密室で一人、また一人と消えていくメンバーたち。果たしてこれは、フィクションか? それとも本当の連続殺人か?彼らを待ち受ける衝撃の結末とは――

■感想
劇団所属の7人の男女。有名演出家の作品に出演するためのオーディションということで集められたメンバーたち。それぞれが野心的に動き回る。演出家の課題として、山荘は雪に囲まれ外部とは連絡が取れない状態という設定を与えられている。

なんでもない山荘がまさにミステリーの舞台となる設定となる。メンバーは何が起こるかわからずに共同生活をするのだが…。最初の殺人が起きる。ただ、死体は存在せず、死んだ者は退場するというルールなので、本当に殺されたのか演出なのかわからないようになっている。

7人の男女の人間関係がポイントだろう。何かしらいわくがあるような者同士。お互いがライバルであり、勝たなければならない。演出家の意図する動きができるのか。次々とメンバーが退場していく。

序盤では、まだ演出の一つという流れなのだが、後半では実際に花瓶に血がついていたりするので、本当に殺されたのでは?という疑いが強くなる。観衆も、おそらくは何かしら恨みをもつ者たちが計画した、演出に見せかけた連続殺人だと想定するだろう。

後半では本当に殺人が行われているという流れとなり、残されたメンバーは疑心暗鬼になる。どのようにしてアリバイを証明するのか。すべてを計画した犯人が判明したのだが…。そこにはさらに裏があった。単純でありがちなミステリーではない。

雪の山荘の中で起きる連続殺人。それが復讐を元にした殺人なのか。ラストの展開は確かに大どんでん返しだ。この展開は想像していなかった。原作を読んでいたはずだが、すべてを忘れていたということだ。

この妙にさわやかなラストは良い。



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