2023.3.27 妙に明るい吸血鬼青春物語だ 【あの子とQ】
あの子とQ [ 万城目学 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
吸血鬼の一族に生まれた弓子。17歳になるとより人間に近づくための儀式が必要となる。人間の血の味を覚えてしまうと、吸血鬼としての本性が現れるらしい。人間の血には極力近づかず、吸血鬼としての超人的な身体能力を隠しながら17歳まで生活してきた弓子。弓子を監視するQという謎の存在と、ちょっとした青春物語が本作のポイントだ。
清く正しいというか、親友のゆっこや、ゆっこが恋をする相手の男などが、常に明るく爽やかなのが良い。ダブルデートの帰り道にバスが落石に合い崖下に落下する。そんな大事故にも関わらず皆が無事だったのはなぜなのか。吸血鬼としての特殊能力や、吸血鬼の存在を人間に知られると、それだけで仲間にまで大きな影響を与える可能性がある。ちょっとヘンテコだが明るく楽しい物語だ。
■ストーリー
恋アリ・青春アリ・吸血鬼アリ!? 嵐野弓子、17歳の大冒険!普段は吸血鬼であることを意識せず過ごす高校生・嵐野弓子の前に突然現れたトゲトゲのばけもの。「Q」と名乗るそいつは、弓子が人の血を吸わないか監視しにきたという。でも、考えてみ? 人間社会に溶け込む現代の吸血鬼が、血を吸うなんて絶対ない! だが、思いがけない事件が起こり――。ミラクルな展開が待ち受ける、青春×吸血鬼ストーリー!
■感想
弓子は17歳になると、より人間に近づくための儀式を行うことになる。吸血鬼として、正体を隠しながらの生活ともおさらばすることになる。人間社会には吸血鬼が存在しており、その存在を巧みに隠しながら吸血鬼の子孫たちはより人間に近づいていくという流れだ。
18歳まで人間の血の味を経験することがなければ儀式を行うことができる。弓子を監視するのは謎の生物Qだ。イメージとしては背後霊のような感じなのだろう。弓子はゆっこの恋を応援するために青春物語が繰り広げられるが、そこでもQの監視がちょこちょこと入ってくる。
弓子は吸血鬼としての能力を人間に見られてはいけない。本気になれば超人的な能力を発揮できるのだが、平穏な暮らしを守るために能力をひた隠しにする。恋愛についても、同じ吸血鬼としか恋愛するつもりはない。親友のゆっこの恋を応援しつつ、巻き込まれる形でダブルデートとなる。
ゆっこや男たちが妙にさわやかで明るく良いヤツたちというのも良い。変に女を意識することなく、明るい感じで女子と男子で海に行く。そして楽しく過ごす。なんだか、この明るい雰囲気が最高に良い。
ダブルデートの帰りにバスが事故にあい、ゆっこや友達はバスから投げ出されるのだが…。ギリギリ弓子の超人的な能力で助けることができたのだが…。ゆっこの片思いの相手だけは助けることができなかったはずが…。
弓子が目を覚ますと皆は傷ひとつない状態で元気だった。そして、Qの姿が見えなくなった。ここから、古から伝わる吸血鬼の伝説や、人間の血の味を覚えたオリジナルの吸血鬼がどのようにして人間社会に溶け込んでいるかが描かれている。
少しヘンテコだが、妙に明るい登場人物たちが最高だ。
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