2023.7.22 590万年さまよう宇宙船【ANIARA アニアーラ】
ANIARA アニアーラ
評価:3
■ヒトコト感想
強烈な作品だ。地球から火星へ移住するための巨大な宇宙船アニアーラ号。船の中はまるで豪華客船のように快適で、長い宇宙旅行に十分耐えられるようになっている。そんな時、ある事故でアニアーラ号は制御不能となり宇宙を漂うことになる。驚きなのはアニアーラ号単体で8千人の生活を賄える状態になっているということだ。そのため、宇宙をさまよい制御が戻る可能性はないが、生存はできる。
宇宙船内部では希望を捨てないため平常心を保てているのだが…。船長が髭を生やし長い年月の経過がわかる。救助船かと思われた謎の槍のような船は、アニアーラ号の技術力では何もできない。ラストの結末も宇宙の広大さを認識せざるお得ない。
■ストーリー
放射能汚染された地球から火星へ移住するため、8,000人の乗客を乗せ旅立った巨大宇宙船アニアーラ号。だが不慮の事故により燃料を失い、目的地であった火星への軌道を外れ、こと座の方面に向けて彷徨うことに。修復不能なまま1年、3年と歳月が流れ、希望を失い、狂気へ落ちそうになる乗客たちは、MIMA(ミーマ)と呼ばれる人間の感情を治癒・制御するAI(人工知能)に依存するように。しかし、あまりに多くの人々の感情を受け続けたMIMAは自らの意思で機能を停止・爆発してしまう。漂流から5年。アニアーラ号へと向かう救助船と思しき存在が現れる。しかし、船ではなくそれは未知の物質で作られた巨大な槍の形をした物体だった…。
■感想
本作の驚きポイントはいくつかある。制御を失ったアニアーラ号だが、宇宙をただひたすら漂っている。それでも宇宙船内部で自給自足が可能で、8千人が生活するのに困ることはない。ある意味、アニアーラ号単体で惑星のような意味をもつのだろう。
火星にたどり着けないとわかった者たちは一時的にパニックになるのだが…。船長がかなりの強心臓だ。どんな時も平静を保ちつつ、皆の前でアニアーラ号の現状を説明する。その際に、決して希望を失わさせないような答えをもっている。
実は地球へも火星へも戻れないほど宇宙空間の遥か彼方をさまよっているアリアーナ号。人類が到達したことのない最長距離だと船長は誇らしく語るのだが…。船長の演説をホールで聴く場面では、次第にその人数が減っていくのが宇宙船でなにが起きているかを物語っている。
次の世代として子供たちを教育しエリートたちを集め、アリアーナ号の制御を取り戻すための研究をする。最も盛り上がるのは謎の槍型の宇宙船が向かってくる場面だ。燃料なのか救助船なのか。人々は希望が見えたと盛り上がるのだが…。
結局、槍型の宇宙船は何に使うのか不明なまま調べるしかない。疲弊していく乗組員や人々。大きな事故が起きて大多数が死亡するが、生き残った者たちでアリアーナ号は運用されていくのだが…。末期では宇宙船内部の電気が消えており、目が退化したような人々が車座になり会話をする。
希望はなくただアリアーナ号の中で生きているだけ。何十年経っても何の変化もない。宇宙の広大さはすさまじい。ラストではこと座に到達するのだが…。それは590万年後というのがすさまじい。
宇宙の広大さばかりが印象に残っている。
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