アメリカン・フィクション


 2024.10.18     黒人作家が黒人を揶揄する作品を書く【アメリカン・フィクション】


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評価:3

■ヒトコト感想
黒人作家の男が、世間の黒人のエンタメに反発する。あえて、自分の今までの作風からはずれた奇抜な個人の本を描く。暴力的な黒人を主人公とし、自らも犯罪を犯し逃亡中の犯罪者と偽って売り出すのだが…。それが予想以上に話題となり賞までも受賞することなってしまう。主役のモンクは家族関係が複雑だ。姉が死に、弟はゲイであり、母親は認知症を患っている。

新たな恋人はできたのだが…。意図しないところで自分がフェイクで書いた黒人の本が話題となり困惑する。ステレオタイプな黒人を強調した物語が受けてしまう。審査員として自らが参加し、自らの覆面作家の本を酷評する。商業主義のマネージャーや出版社と露骨に対立するその流れもよい。

■ストーリー
侮辱的な表現に頼る“黒人のエンタメ”から利益を得ている世間の風潮にうんざりし、不満を覚えていた小説家が、自分で奇抜な“黒人の本”を書いたことで、自身が軽蔑している偽善の核心に迫ることになる。

■感想
作品が売れずにモンモンとしていた黒人作家のモンク。母親が認知症となり、介護費用の捻出に四苦八苦している。医者である姉と弟がいるのだが…。姉が急死する。認知症の母親は、そのことを理解しているのかいないのか…。

弟は実はゲイであり離婚していた。様々な問題をかかえるモンクの家族。そして、モンク自身もぶっきらぼうな気持ちになり、黒人を強調した黒人エンタメの小説を書いてみることにする。自分が忌避してきた黒人エンタメをあえて書いてしまう。

モンクは素性を隠して書いた作品が思いもかけず話題となってしまう。マネージャーは架空の人物を作り上げて売り出そうとしている。黒人で犯罪者でFBIから逃亡している男が書いた小説ということで売り出し、あっという間に世間の話題となる。

出版社にはモンクのことを伝えずに、あくまでも逃亡犯だということにする。この時点でモンクが嫌気がさしているのが良い。まさか話題になるとは思っておらず、適当に作り上げた作家象が独り歩きしてしまう。出版に際して「FUKC」とタイトルをつけるなど、無茶苦茶なことをしている。

FUCKに映画化の話が来たりもする。FUCKが文学賞の候補になり、モンクはその審査員として参加することになる。かたくなにFUCKをこき下ろすモンク。対して5人中3人の審査員がFUCKを大絶賛し、そのまま多数決でFUCKが受賞してしまう。

こんな感じでモンクの思惑とは別に、次々とFUCKが話題になっていくのが面白い。そして、そのことにうんざりしているモンク。ラストの授賞式の場面では、モンクが授賞式の場にでていき、自分が作者だと暴露するのかどうなのか…。

ラストの劇中劇的な流れが良い。



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