アバウト・レイ 16歳の決断


 2023.8.26    16歳でホルモン治療を決断する【アバウト・レイ 16歳の決断】

                     
アバウト・レイ 16歳の決断
評価:3

■ヒトコト感想
16歳のレイは心は男だが体は女であり、そのことに悩み続け、ホルモン治療を受けることを決断する。それを家族がどう考えるのかの物語だ。シングルマザーのマギーと祖母のトリー。そしてパートナーの女性。祖母がレズビアンでシングルマザーという複雑な関係だ。レイがホルモン治療を受けるためには別れた父親のサインが必要。

レイは一日でも早く男になりたい。そのために転校もする予定だ。レイの思いを受け止められない家族。特に別れた父親は、レイが16歳でホルモン治療をすることに否定的で、後戻りできないと考えている。マギーが父親と別れた原因が、父親の弟と関係をもったという衝撃的な事実が明らかとなる。レイの拒否感が強まる要素が盛りだくさんだ。

■ストーリー
「誕生日の願い事は毎年同じだ。“男になれますように"」16歳になり、身も心も男の子として生きたいと決断した主人公・レイ(エル・ファニング)。医者から受け取ったホルモン治療についての見慣れない資料に呆然とするシングルマザーのマギー(ナオミ・ワッツ)は、「突然、息子を育てることになるなんて・・」と、動揺を隠せない。共に暮らすレズビアンのおばあちゃんのドリー(スーザン・サランドン)もレイのカミングアウトをイマイチ理解ができないでいる。

一方、髪を短く切り、身体を鍛え、少しずつ“本当の自分"に近づいていくことで生き生きしてくるレイ。そんな姿を見てマギーは意を決して、治療の同意書のサインをもらうために、何年も会っていない別れた夫に会いに行くのだが、そこでまさかの“家族の秘密"が明らかになる。

■感想
男になりたいマギー。16歳にしてホルモン治療を受け男になることを夢見る。体を鍛え髪を短く切り好きな女性ができる。ホルモン治療を受け転校して新たな人生を普通の男として過ごすことを夢見たレイだが、最終的なサインをマギーがしてくれないためトラブルとなる。

親からすると16歳でホルモン治療をする決断は早すぎると感じるのだろう。ただ、当人からすると青春時代を男として過ごしたいという強い思いがある。別れた父親はマギーに輪をかけてレイのホルモン治療に否定的なのがやっかいだ。

祖母がレズビアンでそのパートナーと一緒に生活しているというのが複雑な環境だ。レズビアンであるので、よりレイが男になるためのホルモン治療には思うところがあるのだろう。別れた父親に関しては、レイが生まれてから一度も会ったことがないにも関わらずホルモン治療をはっきりと拒否する。

レイの人生はレイの好きなようにやらせてあげればと思うのだが…。周りの拒否感によりレイは癇癪を起したりもする。マギーの思いも複雑かもしれないが、ある意味自業自得かもしれない。

強烈なのはマギーが父親と別れた原因は、実はマギーが父親の弟と寝ていたということだ。レイが男になりたいと思ったのは、父親がいなかったことが多少なりとも影響しているのだろう。

レイはそのことを微かに気にかけており、結果としてマギーがレイの人生を客観的に壊したような感じだ。マギーがどれだけ言い訳をしたとしても、現実はシビアだ。本作を見て思ったのは、マギーがやはり一番悪いように思えた。レイの人生は16歳ではあるが、自分で決めさせて良いのでは?と思った。

ホルモン治療への周りの理解が問題の物語だ。



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