AI崩壊


 2023.11.2    すべてをAIにゆだねた未来【AI崩壊】

                     
AI崩壊 [ 大沢たかお ]
評価:2.5

■ヒトコト感想
未来の世界のAIはどうなるのか。医療AIの「のぞみ」が日本を救う。便利なAIにすべてをゆだねると、それが暴走した際の混乱はすさまじい。2030年には本作のようにすべてをAIにゆだねるような世界が来るのかもしれない。仮にAIが暴走して人間に対して牙を向き始めたら…。

昔から言われていることを現実的な流れで描いた本作。医療AIは確かにすばらしいが怖い部分でもある。作中でも描かれているが、ペースメーカーまでもAI依存だと、不具合が人間の命に直結することになる。のぞみと対比するように警察の捜査AIである百目は衝撃的だ。できたらいいな?ということをすべて可能とする夢のような捜査AIだ。それを映像化したのはすばらしい。

■ストーリー
2030年。人々の生活を支える医療AI「のぞみ」の開発者である桐生浩介(大沢たかお)は、その功績が認められ娘と共に久々に日本に帰国する。英雄のような扱いを受ける桐生だったが、突如のぞみが暴走を開始――人間の生きる価値を合理的に選別し、殺戮を始める。警察庁の天才捜査官・桜庭(岩田剛典)は、AIを暴走させたテロリストを開発者である桐生と断定。日本中に張り巡らされたAI監視網で、逃亡者・桐生を追い詰める。

桐生が開発したAIを管理していたのは、桐生の亡き妻でありAI共同開発者の望(松嶋菜々子)の弟、西村(賀来賢人)。事件の鍵を握る西村も奔走する一方で、所轄のベテラン刑事・合田(三浦友和)と捜査一課の新米刑事・奥瀬(広瀬アリス)は足を使った捜査で桐生に迫る。日本中がパニックに陥る中、桐生の決死の逃亡の果てに待っているものとは?一体、なぜAIは暴走したのか?止まらないAI社会の崩壊は、衝撃の結末へ――。

■感想
AIの描写はすさまじい。今の技術では難しいのだろうが、将来こうなるだろう、というのを描いている。医療AIとして人間の生態反応を見ながら適切な判断をし薬を処方する。それだけでなく遺伝子的な調査から将来かかるであろう病気すらも判明し、その予防ができる。

病院だけでなく人々は時計のように常にデバイスをつけてそこからAIが情報を収集する。体調不良をいち早く察知し対策する。車の運転中に疲れているかがすべてわかる。まさに夢のような技術が映像化されている。

AIがマルウェアに感染したことで暴走する。医療AIが暴走したらどうなるのか。ペースメーカーや入院中の患者の機器が止まったりすると命にかかわる。人の手でどうにかなるレベルではないほど深い領域までAIが入り込んでいると、もうどうしようもないのだろう。

AIに支配される未来はもう避けられないような気がした。同じく警察側では百目という捜査AIを使用するのだが、これがすさまじい。すべてのデバイスのカメラを利用し逃亡犯を撮影し続け追いかけ続ける。

未来のAIに支配された世界。逃亡犯はどこに逃げてもAIに追いかけられ続ける。医療AIは最終的に生きる価値のある人間を選別しはじめ、価値のない人間は殺そうとする。むちゃくちゃな世界だ。すべてをAIにゆだねると、正常にAIが機能している間は問題ないのだが、ひとたび不具合を起こすととんでもないことになる。

どれだけ完璧なシステムといえども不具合は起こる。AIに頼りすぎる世界というのは恐ろしい。それはまさに今のスマホに依存した生活にもつながるものがある。

近未来のAIの世界を描いた作品だ。



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