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 2024.10.17      小粋な会話を続ける殺し屋たち 【777】


                     
777 トリプルセブン [ 伊坂幸太郎 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く殺し屋の物語。多数の殺し屋がそれぞれの目的のためにある高級ホテルに集まる。大元の依頼主である乾が怪しげな六人組をホテルに送り込む。吹き矢を巧みに扱うイケイケの六人組の殺し屋。ホテルの清掃員のふりをした小柄な女性のコンビの殺し屋。なんでも記憶ができる紙野を中心として殺し屋たちが動き回る。

天道虫は紙野を助けるのだが…。そのほかに、どちらの味方かわからない高良(コーラ)や奏田(ソーダ)などふざけた名前の殺し屋も登場してくる。ラストではしっかりとどんでん返しがある。殺し屋たちが、その仕事に似合わない小粋な会話と死と隣り合わせの仕事という感覚の薄い行動の数々が良い。

■ストーリー
『マリアビートル』から数年後、物騒な奴らは何度でも!やることなすことツキに見放されている殺し屋・七尾。通称「天道虫」と呼ばれる彼が請け負ったのは、超高級ホテルの一室にプレゼントを届けるという「簡単かつ安全な仕事」のはずだった――。時を同じくして、そのホテルには驚異的な記憶力を備えた女性・紙野結花が身を潜めていた。彼女を狙って、非合法な裏の仕事を生業にする人間たちが集まってくる……。そのホテルには、物騒な奴らが群れをなす!

■感想
一般人の紙野は乾と仕事をしたことをきっかけとして乾から狙われることになる。紙野を逃がすためにITに長けたココが護衛の殺し屋を雇うのだが…。本作のポイントは間違いなく七尾だ。最初はなんでもない簡単なお使いをするためにホテルにやってきたのだが、ひょんなことから紙野を助けることになる。

マリアの危機を救うためという建前があるのだが、殺し屋にしてはずいぶんとでしゃばる感じになっている。天道虫こと七尾が、意図せず相手の殺し屋を倒したりするのが良い。

六人組の殺し屋はとんでもなく憎たらしい。明らかにリア充な雰囲気をだし容姿端麗であり、あっさりと相手を殺害する。六人がそれぞれしびれ薬付きの吹き矢を使いながら相手を殺害する。七尾たちが対抗するのだがその過程で、奏田が殺されたりもする。

殺し屋独自の殺し方がある。奏田は爆発物を扱い、六人組のひとりのアスカを道連れにする。すべての元凶である乾を倒すために七尾は動いているのかと思いきや…。ラストでは別の展開がある。

殺し屋たちそれぞれの小粋な会話が良い。伊坂幸太郎作品にありがちなキャラであり、殺し屋の戦いの場にはそぐわない会話すらある。黒幕の殺し屋は相手の両手を瞬時に脱臼させることができ、無防備な殺し屋をサンドバッグにするという嫌な趣味がある。

乾も同じく生きたまま人間を三枚におろすという恐ろしい噂があるのだが…。激しい殺し屋同士の対決ではあるが、小粋な会話が展開されるので、そこまでシリアスな感じがない。

伊坂幸太郎のこの手の殺し屋のキャラは特殊だ。



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