2023.2.20 息子と共謀し妻を殺害する夫 【1922】
1922 / スティーヴン・キング
評価:3
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■ヒトコト感想
息子と共謀し妻を殺害した男の物語。生前の妻の行動は確かに度が過ぎている。実の息子と夫から殺害を計画されるのはすでに異常な状況ではある。息子は多少の戸惑いはありつつも、あっさりと計画を実行にうつす。古井戸に妻を落としてからが本作のメインだ。妻と関係のある弁護士の厳しい視線。よく知る保安官からの事情聴取。
それらを潜り抜け、無事に過ごせたかと思いきや…。息子が恋人を妊娠させ、そのトラブルで息子が家出をしてしまう。息子がどうなるのか。そして、妻の亡霊を見る男。破滅へと向かうのは間違いない。いつ妻殺しの件が明るみにでるのか。読者はドキドキしながら読むのだが、最後まで運よく逃げ切ることができたのだが…。
■ストーリー
8年前、私は息子とともに妻を殺し、古井戸に捨てた。殺すことに迷いはなかった。しかし私と息子は、これをきっかけに底なしの破滅へと落下しはじめたのだ…罪悪のもたらす魂の地獄!恐怖の帝王がパワフルな筆致で圧倒する荒涼たる犯罪小説「1922」と、黒いユーモア満載の「公正な取引」を収録。巨匠の最新作品集。
■感想
妻が遺産相続で巨大な土地を手に入れ、それを売り払おうとする。それに反対する夫と息子。妻の横暴具合がすさまじい。田舎で畑を耕し牛を育てることに嫌気がさした妻は都会の生活に憧れている。夫と息子の決断もまたすさまじい。
妻を殺害すると決断したきっかけは、妻のとんでもない横暴と息子へのデリカシーのない発言が決定的なのだろう。息子が母親殺害に加担するというのも相当な理由なのだろう。グロテスクな場面が続き、妻を殺害し井戸の中へと妻を突き落とす。死んでいると思われたのだが…。
妻の死が周りにバレないかビクビクして生活することになる夫と息子。妻と土地売却で話し合っていた弁護士は、夫のことを疑い始める。妻が家を出て行ったからと、殺害を疑うというのはかなりぶっ飛んだ印象だ。地元の保安官が家にやってきて妻の動向をさぐる。
ここが一番のポイントだろう。妻の行き先を探る保安官。無事に保安官の追求を逃れたとしても、そこから息子とその恋人の妊娠トラブルが発生する。息子は恋人を取り戻すために銀行強盗を繰り返しながら恋人の住む町へと向かう。
殺した妻の亡霊に怯えながら、息子の悲報を聞く。妻の死体をかじっていたネズミたちが、夫を襲う。強烈なインパクトがあるのは、村の人間関係だ。保安官や息子の恋人の父親を含め、みな顔見知りだ。そのため、息子が相手の娘を身ごもらせ、そこからさらに人さらいのような形で連れ去り、あげくはふたりとも死ぬという強烈な状況となる。
保安官は偶然にも、男の妻が死んでいると考える。身元不明の女の死体を男の妻と認識してくれたことで、それなりにインパクトがある結末となる。
生々しい殺人の物語だ。
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