ズートピア


 2018.9.10      ここは人間社会の縮図だ 【ズートピア】

                     
ズートピア [ ジニファー・グッドウィン ]
評価:3

■ヒトコト感想
動物たちが主人公の物語。ウサギ初の警察官として奮闘するジュディが、小さくすばしこい動きで事件を解決する。ジュディはひょんなことから詐欺師のキツネ・ニックと共に行方不明事件を調査することになる。ズートピアではすべての動物が人間界のように平等に暮らしている。動物の個性がそのまま職業につながるような感じだ。

ジュディとニックはお互い憎まれ口をたたきながら、なんだかんだと事件解決の糸口をつかむことになる。肉食動物たちばかりが、我を忘れて狂暴になる病気が蔓延し、ズートピア全体がきな臭い状況となる。ジュディのとんでもなく前向きな気持ちは見ている者を勇気づける。ウサギのジュディとキツネのニックのヘンテコなコンビもまた良い。

■ストーリー
動物たちの“楽園"ズートピアで、ウサギとして初の警察官になったジュディ。でも、ひとつだけ問題が…。警察官になるのは通常、クマやカバのように大きくてタフな動物たちで、小さく可愛らしすぎる彼女は半人前扱いなのだ。だが、ついにジュディも捜査に参加するチャンスが! ただし、与えられた時間はたった48時間。失敗したらクビで、彼女の夢も消えてしまう…。

頼みの綱は、事件の手がかりを握るサギ師のキツネ、ニックだけ。最も相棒にふさわしくない二人は、互いにダマしダマされながら、ある行方不明事件の捜査を開始。だが、その事件の背後にはズートピアを狙う陰謀が隠されていた…。

■感想
ウサギ初の警察官となったジュディ。周りの警察官たちはトラやサイなど巨大で獰猛な動物たちばかり。そんな中でジュディは新人警官として不本意ながらも駐車違反を取り締まるなどの業務に一生懸命とりかかる。

ジュディは警察署長に直談判し、やっとのことで行方不明者の捜索に対応することになる。ジュディの天真爛漫な部分と、型破りな行動というのは、見ていて楽しくなる。キツネのニックは詐欺師としてジュディに、何かというとちゃちゃを入れたりもする。このふたりのやりとりは最高に面白い。

行方不明者の捜索を続けると、肉食動物が突如として狂暴に変化する場合がある。この謎を解き明かすためにジュディは奔走する。ニックは敵として存在すると小憎らしいが、味方になるとすこぶる頼りになる。ペン型の録音装置を持ち、相手の弱みになるようなことはすぐに録音する。

ジュディは、いつの間にかニックに感化され、相手の弱みを握るために録音するようになる。ジュディは両親に大事に育てられたようで、ウサギとしては特異な職業についたことについては両親の心配のタネでしかない。

ズートピアはまさに人間がそのまま動物になっただけの世界だ。市長や副市長がいて、詐欺師もいれば、騙される間抜けもいる。人間社会の縮図がこの世界に描かれている。結局のところ、肉食動物と草食動物が同じ社会で生活しているというのが、それなりにインパクトがあるのは間違いない。

ライオンなどは、ウサギが隣にいれば、思わず噛みついてしまうのではないのだろうか。ニックが錯乱しジュディに噛みついてしまうという描写があるが、そこで初めて、ニックが肉食動物と認識した。それくらい草食と肉食の垣根はとっぱらわれている。

ズートピアとしての物語は、まさに人間社会の縮図だ。



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