絶望スクール 池袋ウェストゲートパーク15 


 2020.4.22      SNSやyutubeを駆使する 【絶望スクール 池袋ウェストゲートパーク15】

                     
絶望スクール 池袋ウエストゲートパーク15 [ 石田 衣良 ]
評価:3
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■ヒトコト感想
IWGPシリーズとして、すでに15巻を数えている。途中からGボーイズ頼みになっており、本作もそのパターンは揺るがない。ただ、それぞれの問題がSNSやYoutubeなどを駆使したものとなっている。時代の流れに合わせてトラブルを描き、解決方法もいかにも現代的だ。

登場人物たちは相変わらずだ。池袋がどれだけ変化しようとも、ここに登場する者たちは変わらないのだろう。東南アジアから研修と称して日本にやってきて猛烈に搾取される者。まさにそれらの問題を、Gボーイズが強引な手を使って解決している。交通事故の問題や引きこもりなど、普遍的な内容もある。Gボーイズのタカシすら企業の経営者のような考え方をしている。時代が変化しているのを如実に感じる作品だ。

■ストーリー
多国籍料理店でアルバイトをするベトナム人留学生ミンの様子がおかしい。旧友のオーナーから相談を持ち込まれたマコトが彼女の身辺を調査すると、留学生の生活を管理して搾取する日本語学校の存在に行き着いた。そんななか、ミンから日本にいる兄がいなくなったとしらせが入る……。希望をもって日本に来た若者たちを食い物にするやつらに罰を与えるため、マコトとタカシが池袋の路上で動き出す。

■感想
印象的なのは引きこもりを救済するための支援会社の短編だ。引きこもりを社会復帰させるという名目で家族から多大な料金を請求する。現実にも起きていることなのだろう。ただ、家族としては藁にもすがる思いで支援会社に依頼をする。

もし、ここで引きこもりの息子が社会復帰したら目先の500万も、息子がこれからまっとうに働けば、十分に元が取れる料金だということらしい。途中解約しても同等のキャンセル料を請求されるなど、悪徳な部分があるのでGボーイズによって成敗されている。

朝の通学路に現れるスピード狂をGボーイズでお仕置きする物語もある。緑のおばさんをしている夫婦。それは過去に自分の子供がその場所で事故にあったからだ。事故を起こした側にも家族がおり、事故で子供を失うことの辛さは十分に理解している。それでも、自分可愛さから真実を明らかにできない。

非常に強烈なインパクトのある作品だ。Gボーイズのトップであるタカシも、自分のチームのメンバーが事件にかかわっているとなると無視できない。それぞれの葛藤が嫌という言うほど伝わってくる作品だ。

表題作でもあり「絶望スクール」は、東南アジアから日本に学びに来た者たちを盛大に搾取する者たちの物語だ。弱者につけ込む世界の典型だ。安い賃金でこき使う。そのことについて文句をいうこともできない。大きな借金をして日本で稼ぐことを夢見て日本にやってきた若者たち。

嫌なら日本に来なければよいと言われてしまう立場が弱い者たち。Gボーイズは搾取している側の度を越した横暴に対してお仕置きをしているのだが、世間の流れとしての大きな波を変えることはできない。

最新の問題を扱っているのは間違いない。



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