誘拐の掟


 2018.12.15      異常者には異常性のある探偵が必要 【誘拐の掟】

                     
誘拐の掟 [ リーアム・ニーソン ]
評価:3

■ヒトコト感想
元刑事で私立探偵のマットが異常な誘拐犯グループを追いつめる作品だ。麻薬密売人の妻が誘拐され身代金を奪われ殺された。誘拐犯たちは、警察に通報できない裏の仕事をしている者の関係者ばかりを誘拐し、身代金を手に入れていた。快楽殺人者でもある誘拐犯たちをマットが追いつめる。

マット自身が過去の刑事時代に犯した罪の罪悪感や、むごたらしい手口で人質を殺す犯人の残忍さなどが強烈に描かれている。マットが誘拐犯たちと交渉するシーンでは、人質の生命を第一に考え交渉する。それは荒っぽい言葉だが、人質が生きていると証明できないと、金は手に入らないと逆に犯人たちを脅している。警察には連絡できない者たちの、最後の頼りがこのマットだ。

■ストーリー
「妻を誘拐した犯人を探して欲しい」。ニューヨーク市警の元刑事である無免許の私立探偵マット・スカダーのもとに、不吉な依頼が舞い込んできた。裕福なドラッグ・ディーラーの美しき妻が何者かに誘拐され、40万ドルの身代金を奪われたうえに、惨たらしい手口で惨殺されたのだ。

スカダーの丹念な調査の結果、正体不明の二人組の犯人は警察に通報できない麻薬関係者の身内ばかりを狙い、血も涙もない凶行を繰り返していることが明らかになる。やがて快楽殺人鬼でもある犯人たちは、新たな獲物として愛くるしい14歳の美少女の拉致を実行。その交渉役を任されたスカダーは、刑事時代に犯した過ちの赦しを求めるかのように、常軌を逸した誘拐魔たちに敢然と立ち向かっていくのだった……。

■感想
妻を誘拐された男は、身代金を支払ったにも関わらずむごたらしい妻の死体を目にすることになる。マットが探偵として誘拐犯を調査する。警察に依頼できない事案なだけに、マットは裏の情報網を使い犯人たちを見つけだそうとする。

まず序盤の犯人たちの異常性がすさまじい。はなから人質を殺すつもりでおり、それもこれでもかというほど残忍な手口を使う。さらには、夫に対して妻のバラバラになった死体を見せつけるなど、サイコパスの様相をていしている。

マットが調査する過程で、14歳の少女が誘拐されるという類似事件が発生する。同じく警察へは連絡できない状況で、何より少女の生命の無事を考える家族。そんな状態でマットは犯人たちとの交渉にも強気な態度にでる。

少女を電話口に出さないと交渉すらするつもりはない。生きている証拠を示さないと絶対に金は手に入らないと犯人たちに思い込ませるため、あえて強気な態度にでる。おそらくこのマットの交渉がなければ、少女は最初に殺されていたのだろう。

マットと犯人たちの交渉はひりつく場面だ。どのようにして金の受け渡しをするか。一見、犯人側が有利なような状況だが、実はマットが都合の良いように交渉している。終始落ち着き払ったマットは、犯人を目の前にして撃たれる危険がありながらも平然と交渉を続ける。

本作はマットの強烈な個性と、犯人たちの異常性がポイントだろう。妻を殺された男が復讐に燃えたとしても、犯人の想像を超えた行動の前にはあっさりとやられてしまう。

まさに、異常者と相対するには、ある程度の異常性が必要なのだろう。



おしらせ

感想は下記メールアドレスへ
(*を@に変換)
pakusaou*yahoo.co.jp