私たちのハァハァ


 2021.12.21      女子高生たちの非現実的なロードムービー【私たちのハァハァ】

                     
私たちのハァハァ 井上苑子/大関れいか
評価:3

■ヒトコト感想
北九州の女子高生たちがライブを見に行くため自転車で東京へ向かう。関門海峡を渡るあたりでは、テンションが高いが、案の定広島あたりで疲れ切ってしまう。広島まで自転車で行くというのも尋常ではない。結局はヒッチハイクなどを駆使しながら東京へと到着する。途中では女子同士の喧嘩などが発生する。

暴力というよりは激しくヒステリックな言い合いという感じだ。女子高生4人がヒッチハイクで東京へ行くというのは平和な日本だから成立するのだろう。ノリと勢いでスタートした旅。バンドに対する熱量の違いや、本気で東京を目指していない者など、思いに違いがある。ラストでは親の力で地元に帰りついている。まぁ、青春の1ページという感じだ。

■ストーリー
田舎の女子高生4人組が、1000キロ離れた東京へ自転車で向かうロードムービー。片田舎に住むチエたち女子高生4人組は、ロックバンド“クリープハイプ”の大ファン。彼女たちは、福岡のライブを見に行って出待ちした時に、『東京のライブにもぜひ』と言われた言葉を真に受けて、東京に行くことを“ノリ”で決意する。高校3年生最後の夏休み、彼女たちの自転車で日本を横断する1000キロの旅が始まった!

■感想
ノリと勢いだけで盛り上がり、クリープハイプの東京のライブへ北九州から自転車で向かおうとする。夜に女子高生たちが集まり盛り上がり、その場のノリで行ってしまうのはよくわかる。何かしら冒険のスタートのような勢いと背徳感での盛り上がりなのだろう。

夜中の関門トンネルを自転車で通る場面は、確かにテンションが上がる。ただ、そのテンションを保てるのは山口までだった。あらためて、本当に行くの?と聞く者もいる。当然だろう。4人が同じテンションと思いで必ずしも旅がスタートするはずがない。

広島あたりで半分あきらめの言葉がでてくる。まず広島まで自転車で行くのがすさまじい。途中、公園で寝たりもしているのだろう。女子高生が公園で眠れる国は日本しかないだろう。日本でも決して安全とは言えないのは確かだ。

広島で自転車を諦め、そこからヒッチハイクで東京へ向かう。途中で資金がつきるとキャバクラで働いたりもする。かなりの幸運により東京へ到着する。長い旅なので、仲間同士でギクシャクする場面がある。クリープハイプに対する熱量の違いも明らかになってくる。

女子同士の険悪な雰囲気というのは辛い。ピリピリとした雰囲気が後を引く。深夜バスの中でひたすらLINEでやりとりするなど、女子高生らしい。そこから、ギリギリコンサートに間に合ったかと思いきや、アンコールのステージ上に誤って上がってしまう。

女子高生たちのドタバタの旅はあっさりと終わる。当然ながら帰りの資金は親に頼るしかない。女子高生4人のロードムービーとしては新しいのかもしれない。ただ、ちょっと非現実的すぎるような気がした。

そもそも計画性がまったくない旅だ。



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